TOP 経営者がおさえておきたい、HR5大重要テーマを語る 企業はもっと小さなユニットの集合形式になる。―自社の存在意義を内外に打ち出す「理念、ビジョン共有、浸透改革」―(5/5)

2018/02/06

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経営者がおさえておきたい、HR5大重要テーマを語る

第5回

企業はもっと小さなユニットの集合形式になる。―自社の存在意義を内外に打ち出す「理念、ビジョン共有、浸透改革」―(5/5)

  • スペシャル対談
  • 組織
 

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「経営者を語る。」――今回は、豊田義博氏(リクルートワークス研究所・主幹研究員)をゲストにお迎えします。

テーマは「経営者がおさえておきたい、HR5大重要テーマを語る」。
多様な人が活躍できる職場環境とは?
働きがいと誇りを感じられる仕事の与え方とは?
人生100年時代にあって従業員の一人ひとりがキャリアオーナーシップを持つための支援とは?――
など、これからの企業経営におけるHR領域での5つの重大テーマについて、豊田義博さんと弊社代表・井上和幸で語り合っていただきました。全5回でお届けします。

 

 

井上 第5のテーマは《自社の存在意義を内外に打ち出す「理念、ビジョン共有、浸透改革」》です。実際にできているかは別として、経営者の方は最近かなり意識している気がします。実際、やっている会社も多いと思いますが、例えば、豊田さんはどんな会社が思い浮かびますか。

 

豊田 個人的な印象では、日立さんという会社は、自社が社会に対してどういう存在であるか? ということを明確に、日本企業としては、わりと上手にできている会社ではないかと思っています。
こんなふうに、己を知り、社会に対して何が価値があるかを認識して、どう向き合うのか? そして、社会の変化に対してちゃんとチューニングして言語化し、実際のところは事業そのものも見直す――みたいなことがあって初めて魂が入るんだろうなという気がしますね。でも、どの会社も大切にしようって思っているはずですよね。すでに話してきた第2番のテーマだろうが、第3番のテーマだろうが、かなりこの部分につながってくる部分がありますから。

 

井上 そうですね。出発点は第5番のテーマにあって、ここから全てが展開されると思います。ただ、思いはあるけれど、それが言語化できていない会社も多いと思うんですね。なにか日本的ですが、突き詰めて言葉として明確化するのは大変なことではあるので、目の前のことをいろいろ一生懸命やっていると、なかなか本腰を入れて、そこに手を付けられないことは、比較的、中堅ベンチャー、中小みたいなところだとあるのかなと思います。大手さんの場合、僕はあまり僭越なことは言えませんが、こういう理念やビジョンを本当の意味でつくるのは、実はかなり大変だと思うんですね。いろんな部門がありますから、あちこちから突き上げられて、結局、「総合何とかカンパニー」みたいになってしまうというか。

 

豊田 でも、それで言ったら、組織全体とか全社的な文言は何か考えるべきかもしれませんが、個々の事業部門単独で、自分なりに理念なりビジョンなりを描いて、その事業の中で事業部長が謳って結束を高めれば全然いいと思いますけどね。

 

井上 大手さんだったら事業部ごとの方がいいんじゃないかなという気がしますね。ただ、やっぱり悔しいかな、この手の話を僕も話したり書いたりするときに、わかりやすい例というか、素晴らしいと思う例は、やはりアップルだったり、グーグルだったりするんですよね。

 

豊田 そうですよね。そういう部分が、まさにおそらくダイバーシティ的なことなどが根っこの動機にあるから、言葉に対する配慮のレベルが高い。

 

井上 海外は、ローコンテクスト文化だから、という理由もあるんでしょうかね。

 

豊田 日本人は、ハイコンテクスト文化ですからね。その部分もあるから、言葉にして何か説明するということに対して、ちょっと軽視している部分はある気はしますね。言葉による説明に、そこまで価値があるとは思っていない気がします。

 

井上 もしかしたら最近の企業、経営者が、こういう理念とかビジョンをはっきり打ち出そうとしているのは、今回の対談の冒頭に出たような、特に若い世代の仕事に対する価値観が変わっていることや、ただ目の前のことを「一生懸命にやれ!」と言って、やる人はいないという状況などが後押ししている部分もあるんじゃないでしょうか。そういう意味では、もしかしたら日本も、ハイコンテクスト文化からローコンテクスト文化へとシフトしている部分があるのかもしれません。

 

豊田 それはきっとありますね。若い人は若い人でLINEなどの中ではすごいハイコンテクストなコミュニケーションをしていると思いますが、いわゆる企業世界のおっさん世代のコミュニケーションのハイコンテクストとは全然違うコンテクストが発生している気がします。だから、そうした対象に語るときには、明確なコンテンツレベルにまで落としていかないと、ちゃんと会話ができていないんだろうとは思いますね。ミドルは、コンテクストについていっていると思いますが、何となく、若手の側にそもそも期待感がなくなってしまっている部分があるかもしれませんね。「何のためにやっているのか?」という部分が。そういう人たちをつなぎとめるためにも、ちゃんと言語化をすることは絶対に価値があることだと思います。

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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  • 豊田 義博氏

    豊田 義博氏

    リクルートワークス研究所 主幹研究員

    1983年東京大学理学部卒業後リクルート入社。就職ジャーナル、リクルートブック、Worksの編集長を経て、現在は研究員として、20代の就業実態・キャリア観・仕事観、新卒採用・就活、大学時代の経験・学習などの調査研究に携わる。著書に『なぜ若手社員は「指示待ち」を選ぶのか?』(PHPビジネス新書)、『若手社員が育たない。』『就活エリートの迷走』(以上ちくま新書)、『「上司」不要論。』(東洋経済新報社)、『新卒無業。』(共著 東洋経済新報社)などがある。

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