2018/06/25
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スペシャルコラムドラッカー再論
第127回
知識組織におけるトップマネジメントの役割。
- エグゼクティブ
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
では、その知識組織におけるトップマネジメントは、いかにあるべきなのだろうか?
「トップマネジメントは、知識組織としてのミドルを知り、理解しなければならない。ミドルとの間にコミュニケーションを確立する必要がある。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
ドラッカーは、ミドル自身が、事業が何であり何であるべきかを明らかにし、トップマネジメントに対して組織全体としての目標、戦略、優先順位を明らかにすることを要求しなければならないと語る。さもなければ、ミドルが自らの仕事を行うことができないからだ。
そして、いまやトップマネジメントにとって最も重要な層は、高度の専門能力を持つ若手の知識労働者である、とドラッカーは(なんと45年前に既に)力説する。
最先端技術を身に着けたエンジニア、タレントマーケッター、ファイナンスやアカウンティングのスペシャリストなどだろうか。
「彼らは、放っておいたのでは、トップの意図を理解せず、事業全体を把握できず、成果に焦点を合わせられない人たちである。しかるに、その有する知識のゆえに、若いうちから事業の成否に大きな影響を与えうる人たちである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
したがって、いかなる規模、企業ステージ、業種業態の企業であっても、トップマネジメントが密接な関係を築く必要のある従業員は、若手の知識スペシャリストなのだ。
「トップマネジメントの全員が、年に数回は彼ら若手の知識労働者に対し、次のようにいう機会をもたなければならない。「今日は議題はない。特にこちらから話したいことがあるだけではない。意見を聞きたい。あなた方の仕事や私たちの仕事について、私たちが知らなければならないことは何か。問題や機会は何か。私たちはあなた方の仕事の助けになることをしているか、邪魔になることをしているか。教えて欲しい」」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
そして彼らの上司こそが、<新種のミドル(VOL.125参照)>だ。知識を仕事に適用し、かつ知識を基盤として、組織全体の能力、成果、方向に影響を与える意思決定を行う者たちのことを指す。
「これら新種のミドルたる知識のスペシャリストに成果を上げさせることが、われわれ(=トップマネジメント)にとっての新しい課題である。マネジメントの人間をマネジメントしていくうえでの中心の課題である。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
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