2018/06/11
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スペシャルコラムドラッカー再論
第125回
伝統的ミドル VS 新種のミドル。
- エグゼクティブ
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
「1950年代の初め、コンピュータとオートメーションが新聞紙上をにぎわしていた頃、ミドルマネジメントの滅亡は時間の問題とされた。あらゆる意思決定が、コンピュータで行われるか、MIS(マネジメント・インフォメーション・システム)を駆使するトップマネジメントによって行われるようになるとされた。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
なんと、いまでもよく聞くような話が1950年代初めにあったのだ。しかし、その結果はというと、
「これほど早く外れた予測もなかった。まさにこの予測が広まりつつあるさなかで、ミドルのブームが始まった。これまで、あの頃のミドル以上に急速に増大した労働力はなかった。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
このミドルのブームとそれに伴う人員の過剰は、特に大組織の士気と動機づけに悪影響を与えたとドラッカーは述べる。
給与はよく待遇もよい。しかしこのミドルたちには仕事、挑戦、機会がなかった、ただ忙しい(忙しくしている)だけだった。仕事ではなく、「互いに作用し合うことに忙しかった」とドラッカーは解説する。要は仕事と仕事、上位と下位の間に入っての「伝書バト」「伝言ゲーム」に忙しかったということだろう。よくある中間管理職の、最悪のパターンだ。
「何よりもまず、ミドルから脂肪分を除去しなければならない。「本当にしなければならないことは何か」を考え、「必要のないこと、削減したり廃止したりすべきことは何か」を考えなければならない。必要なことはウエイト・コントロールである」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
これらのミドルは、ドラッカー曰く、<伝統的ミドル>と呼ばれる類の者達だ。
一方でドラッカーは、<新種のミドル>も登場し、機能するようになっていると言う。
伝統的なミドルは命令する人だ。それに対して新種のミドルは知識を供給する人である。
伝統的なミドルは、下に向かって、つまり彼に報告する人に対して権限を持つ。
対して新種のミドルは、上や横に向かって、つまり彼が命令できない人に対して責任を持つ、とドラッカーは対比し説明している。
「かつてのミドルの仕事は、主として定型的なものだった。意思決定は行わなかった。誰かがおこなった意思決定を実行するだけだった。せいぜいのところが、現場の実情に合わせて修正するだけだった。自らが設計したものではないシステムを動かすことが、主たる仕事だった。これに対し、新種のミドルはスペシャリストである。彼らの決定と行動が、組織の方向性と能力に直接影響を与える。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
ドラッカーは<新種のミドル>の職種の例として、プロダクト・マネジャー、品質管理担当の技術者、税務担当のスペシャリストなどを挙げているが、この新種のミドルは、自らがトップマネジメントとしての意思決定を行う権限や責任は持たず、かといって単なる現場のいちスタッフでもない。彼らは現場のスペシャリストとしての職務を行っているが、それが組織に対してトップ並みの影響力を与える。
トップマネジメントにとって、その意思決定は、彼ら新種のミドルが自らの責任と権限に基づいて自らの知識を注入しない限り、真に成果をあげるものとはならない。
「知識のスペシャリスト(=<新種のミドル>)は、部下をもたなくともマネジメントの人間である。ところが彼らは、その影響力と責任において、地位は5つも6つも下の階層にありながら、すでにトップマネジメントである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
ドラッカーが理想とするミドル、まさに21世紀に働く我々からみても最も現代的・機能的なミドルの姿が、この<新種のミドル>に見てとれる。
さてあなたの会社の幹部は、あるいはあなたご自身は、<伝統的ミドル>?それとも<新種のミドル>?どちらだろうか。
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