2017/06/26
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スペシャルコラムドラッカー再論
第79回
仕事を生産的なものにするには?
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
「常に目的・成果から考える」
ことだろう。
「要するに、その仕事や仕組み、組織、制度は、どのような成果をもたらしたいためのものなのか」、常にここから考え、ここに立ち返る。
「成果すなわち仕事のアウトプットから考えることである。スキルや知識など仕事へのインプットからスタートしてはならない。スキル、知識、情報はツールにすぎない」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
ともすると我々は仕事を、熟練労働、未熟練労働、知識労働なとと分けるが、これは間違いだとドラッカーは指摘する。
仕事が未熟練であったり熟練であったりするわけではない。働く者が未熟練だったり熟練であったりするのであり、仕事そのものは変わらないのだから、と。
「意味のないたわいごとに聞こえるかもしれない。しかし仕事を生産的なものにするには、仕事が客観的な存在であり、スキルや知識は、仕事側ではなく労働側の問題であることを認識しておかなければならいあい。なぜならば、仕事がそのようなものであるからこそ、仕事を生産的なものにすることに体系的に取り組むことができるからである」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
ドラッカーは仕事を生産的なものとするために、次の4つのものが必要だと述べる。
(1)第一に、仕事の分析。我々はまず、仕事に必要な作業と、その順序と、そこに必要とされるものを知らなければならない。
(2)第二に、プロセスへの統合。我々は作業を集めて、生産のプロセスとして編成しなければならない。
(3)第三に、管理。その生産のプロセスの中に、方向づけ、質と量、基準と例外の管理手段を組み込まなければならない。
(4)第四に、ツール。
「いかなるツールを、いつ、何のために使うかは、アウトプットによって規定される。仕事の分析、プロセスへの統合、管理手段の組み込み、ツールの設計を規定するのも成果である」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
仕事が要求するものを理解すれば、それだけ仕事を「労働という人間活動」に適合させることができる。仕事を理解すれば、それだけ人に、より多くの自由を与えられる、とドラッカーは力説する。