2016/03/14
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スペシャルコラムドラッカー再論
第17回
コスト削減?投資?
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
収益悪化、あるいは赤字転落、倒産の危機。ターンアラウンド=コストカット、というイメージは一般のものだろう。
当然、出血を止めない限り、再生はあり得ない。だが、止血だけで体が蘇るかといえば、これまた違うだろう。
「そのようなコスト削減の奇跡といえども、つまるところは新しいマネジメントが再建に取り組むための若干の時間を与えてくれるにすぎない」(『創造する経営者』1964年)
BSをまずはなんとか綺麗にする。しかし再生はPLを作るところから始まるのだ。
使えるものは多くない、というよりもほとんどない。さて、どうすればよいのだろう?ドラッカーは、次のように指南する。
「コスト管理の最も効果的な方法は、業績をあげるものに資源を集中することである。コストといえども独立しては存在しえない。少なくとも意図としては業績をあげるために発生している」(『創造する経営者』)
ふむ。
「したがって問題はコストの絶対額ではない。業績対比である。いかにコストが安く効率的であっても、業績をあげないならばコストでさえない。浪費にすぎない。そしていつになっても業績をあげないならば、それは初めから正当化されざる浪費だったにすぎない」(『創造する経営者』)
業績をあげるものに資源を集中させる。これが、「投資」的コスト投入である。
自社の事業が業績・収益を上げてくれるものに資源を使わない限り、事業成長はない。つまり、収益回復・成長は起こらない。
ダイエットだけしてやせ細り、筋肉をつけていないため、栄養失調で死んでしまう。
喩えて言えば、こんな生活を「戦略的に」取り、自らを死に至らしめてしまう経営者がときおり存在する。
ではさて、コスト管理の効果的な方法とは具体的にどのようなものだろうか?次回、より詳しく見てみたい。
(続く)