2022/03/11
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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える
第28回
転職先を決めるのが先か、退職が先か
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40,50代の管理職層の方々から、「先に退職してから転職先を探したほうがよいか、先に転職先を決めてから退職したほうがよいか」を訊ねられることがあります。
特に、今回はじめての転職に踏み切る方や、転職経験はあるものの現職に10年以上勤務している方からご質問いただくケースが多いように感じます。
業務の区切りや早期退職制度の活用、ご家族の事情など、それなりのポジションの方には考慮しなければならない点がたくさんあるのだとは思います。
ただ、いろいろあるとしても、私はいつも「転職先を決めてから、退職交渉を進めてください」とお話ししています。
「転職先を決めてからの退職」をおすすめする理由
理由は3つあります。第一に、転職先が決まるまでのタイミングが読めないことです。
先に退職を決めたとしても、希望する職務や企業にスムーズに出逢えるか、選考に合格するか、さらには、条件面で折り合いがつくかはわかりません。
選考は複数回に渡り、順調に進んだ場合でも1~1.5カ月ほどかかります。
自己都合退職の場合、失業手当の受給までの数カ月は収入が途絶えることになり、生活面での不安を抱える可能性が出てきます。
第二に、企業の管理職採用は、厳選採用だからです。
マネジメント層の採用市場はコロナ禍でも活発に動いてはいるものの、誰でもよいわけではありません。
募集背景には、経営体制や事業・サービスにおける何らかの課題があり、現在の人員では解決できず外部からの採用に踏み切るケースが多く、その課題解決を担っていただける方かどうかという点が強く求められます。経験スキルだけではなく、わが社に共鳴共感しているかどうかという点も高いレベルで求められており、採用のハードルが上がっているともいえるのです。
そして三つ目に、離職期間が長くなると、早く職に就きたいという焦りから、自身が大切にしている価値観や担いたい役割の中で要となる部分に妥協が生じる可能性が出てくることです。そのような状態で次を選んで入社しても、結果的に「こんなはずではなかった」となれば、せっかくの転職先から早期離職につながってしまうこともあり得ます。
せっかく新しい場へのチャレンジを決めたのですから、しっかりと準備をして生活面でも不安のない状態で希望の場を見つけ、さらなるご活躍をいただきたいと思うのです。
退職が先になった場合は
転職先を決めるより前に退職した場合、どうすればよいでしょうか。離職期間が6カ月程度までであれば、離職していることそのものをマイナスに捉える企業はほとんどありません。むしろ、早く入社が可能なことは歓迎されるともいえるでしょう。
ご自身の経験の棚卸や今後のご志向など自己認識を深め、情報収集にも充分な時間が取れること、選考日程の調整がしやすくなることをポジティブに捉えましょう。
離職期間が6カ月を超えると、ブランク期間を不安視され、採用選考時に「なぜ決まらなかったのか?決まらない理由があるのではないか?」というバイアスがかかってしまうことがあります。しばらく転職活動ができなかった、あるいはしていなかったなど何らかの事情がある時には、その旨を応募時にしっかり伝えることをおすすめします。
退職時期を考えるよりも大事なこと
40,50代ではじめてあるいは久々の転職活動をする方にはぜひ、『何がやりたいか』『どういう場であれば貢献できるか』を明確にしていただきたいです。今後のご志向を伺った時に、「マネジメントがしたいです。」「経験を活かせる場であれば、幅広く検討しています。」とお答えいただくこともありますが、それでは採用側企業としては何を期待してよいか判断ができません。
過去のご経験の棚卸ができていなければ、選考に進んでも説得力のある話ができずに「お人柄は良い方だが…」で終わってしまいます。
転職においては、ご自身が何をやりたいか、どういう場で貢献できるかに加えて、過去の経験からの根拠を伝えていくことが必要です。
1社での経験が長い方は、面接の限られた時間内で何をどこまで伝えればよいかに迷い、話が冗長になってしまう傾向があります。キャリアの棚卸と整理に一定の時間をかけ、今後の志向性や貢献ポイントを明確にしておくとよいでしょう。
逆に、「何がやりたいか」やご自身の貢献イメージがクリアなっていれば、これぞと思う募集に出逢った時に、スピーディーかつ効果的に企業にアプローチすることができます。
少々インターバルが長くなっても、結果的には良いご縁を引き寄せることにつながるのです。