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2022/02/18

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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える

第26回

面接で話した素晴らしい実績が、経営者に評価されない理由とは?

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成長拡大期のベンチャー企業では経営幹部人材の不足感が高まっています。
中途採用では人事面接や現場面接などの数度のステップを経て、最終面接として経営者面接が実施されることが多いですが、ベンチャー企業の経営幹部の採用においては、経営者自らが採用活動の前線に立ち、一次面接から登場することも少なくありません。

 

皆さんが、もしベンチャー企業の経営幹部を目指すのならば、経営者の面接の時間を有意義なものにすることが、その後の可能性を広げる大きなカギとなります。

 

ただ、かつて、このような場の設定を支援してきて不思議に思うことがありました。
過去に素晴らしい実績を持ち、経営者との面接でも好感触を得たとおっしゃるにも関わらず、不採用が続く方がいらっしゃるのです。

 

実績ある幹部が面接で評価されない、5つの理由

最初は経営者との相性の問題かな?などと考えていたのですが、どうもそうではないようです。立派な実績を持っているのに、評価されない面接をしてしまう人には、共通点があったのです。ここでは、そういった方の5つの特徴をご紹介しましょう。

 

1) 面接をパスすることが目的になっている

 

面接の事前準備をするうちに、目的が面接をパスすることだけになってしまう方がいらっしゃいます。

 

試験で合格を目指すような感覚で面接に臨み、経営者の質問に対して正しく答えようとする方がいますが、そういった杓子定規なやりとりからご自身の魅力を伝えることは難しいのです。

 

このような場合、経営者は早々に選考の土台に乗らないと判断し、自社に対する評価を下げないために、気持ち良くお話をしてもらう場に変更して面接は終了します。転職希望者は好感触なのになぜ不採用となったのか?という疑問を持ちながらも、その理由がわからないので、次の面接でも同じことを繰り返します。

 

経営幹部候補として経営者と直接話ができる貴重な機会には、自分は新天地で何がしたい⇔先方が何をしてほしいのか、どんな貢献できるか⇔先方は何をしてほしいのか等を、お互いにすり合わせをすることを目的とした会話をしてください。
つまるところ、できればいい形で関係を取り結びたいものの、もし互いに求めることが合致しなければそれはそれでよし、といった前向きかつ合理的に話し合う時間にしていただくことが重要です。

 

2)実績の本質に触れない

 

面接では時間も限られていますので、経歴書に記載している最終的な成果をお話することが多くなります。
ただ、経歴書の記載にある最終成果だけをお話したのでは、経営者に評価されることはありません。
経営者は成果をあげるに至った過程も含めた実績を聞くことで、転職希望者の経験や力量を見極めるのです。

 

例えば、売上改善の実績をお持ちであれば、営業戦略の概要と右肩上がりの綺麗な実績だけでなく、なぜそういった営業戦略を策定したのか、改善が必要であった背景は何か、組織的な課題は何だったのか、など当事者として何をどのように判断し、行動したかといった成果までの過程を実績としてお伝えすることができます。

 

面接では課題発見や課題解決に向けた過程を丁寧にお話すべきです。この過程にこそ実績の本質があります。

 

過程部分を丁寧に質問してくれる経営者もいますが、決して多くはありません。積極的にご自身から成果につながった過程を話すことで、実績の本質をお伝えし、経営幹部としてのお力、経験を示すことが必要です。

 

3)経緯、数字の流れを即答できない

 

私が転職希望者を支援するキャリア面談の場で遭遇することがあるのですが、経歴書のエピソードをお伺いする中で、重要と思われる経緯や数字の流れをあまり覚えていない、とおっしゃる方がいます。

 

経営者からすると、本当に実績を作ることに関与していたかどうか疑問に感じるポイントです。

 

売上、利益などの実績を構成する全ての数字を記憶する必要はありませんが、些細なことだが当事者だから話せる経緯、ポイントとなる数字は、経営者が面接を通じて確認したい内容です。

 

ご自身の実績としてお話をするのに経緯や重要な数字をお話できないのであれば、記載する実績やエピソード自体を考え直すべきです。

 

面接者である経営者は、数字の流れの作り方、組み立てを通じて実績を確認したいので、「昔のことですものね」と笑ってくれていたとしたとしても、実績に対して疑問、懸念は浮かんでおり、高い評価を得られることはないでしょう。

 

4)本人しか出てこないエピソードを披露している

 

実績のアピールのため延々と“自分”が活躍してきたお話をされる方がいますが、本人しか現れないエピソードは経営者からの評価を得られません。
若手担当者の採用であれば、積極性、主体性などが魅力に映るかもしれませんが、自分を中心としたチームや組織、クライアント、協力会社などとのプロジェクト推進をイメージができなければ、経営幹部としての魅力を感じないためです。

 

営業部門のエースとして一人で売上を作ってきた実績、管理部門を一人で回し切った実績ではなく、経営幹部として周囲を巻き込みチームや組織を動かしてきたエピソードを聞けることを経営者は望んでいます。
そういったエピソードを通じて、自社で活躍できるかどうかをイメージするのです。

 

事業、組織を拡大させるフェーズのベンチャー企業においては、プレイヤーとしての経験とともに周囲の人材を活かすことで組織を強化し、実績を生むことが求められます。

 

5)自身をプロデュースする意識の欠如

 

最後のポイントは、自身をプロデュースする意識の欠如です。ベンチャー企業の経営幹部として活躍をしたいならば、自身をプロデュースするスキルが必要です。

 

企業から与えられた仕事をしっかりと実行することが重要ですが、「求められることは何でもします」という意識をもった経営幹部が評価される時代ではありません。

 

ご自身の経験をどのように活かして、企業や社会にどう貢献したいかを明確にし、経営幹部としての自身のキャリアをプロデュースし、自身のキャリア成長と企業の成長をリンクさせることが求められます。

 

面接の場で「事業責任者として○○サービス立ち上げて、△△に貢献する」「前職の経験を活かして、□□業界の改革を先導していきたい」など、ご自身がやり遂げたいことを伝えることはできますか。
こういった想いを伝えた上で、やり遂げるために何が必要か、なぜ面接企業での可能性を感じているのか、といった確認を通じ、ご自身が描く将来の個人の成長、企業の成長のイメージをすり合わせていくことが、自身をプロデュースするということです。

 

プロデュースの意識が欠如している転職希望者は、「弊社で何をしたいのかの意思が確認できなかった」「主体的に事業をリードするイメージを持てなかった」と不採用の連絡をいただくことは少なくありません。

 

経営者との面接はご自身の考えを伝え、それを実現できるかを確認することができる場です。そういった考えを持たず、企業で何を与えてもらえるかの確認をするスタンスで面接に臨めば、経営者から良い評価を獲得することはできません。

 

「ポジションを任せてもらえれば実績を出せます」ではなく「自分で道筋を考え実績を出します」という意識が経営者から評価の獲得、その後の活躍につながります。

経営者は面接で何を聞き、何を確認したいのか

ここまで経営者に評価されない方の5つの特徴的なポイントをあげました。
経営者は面接を通じて、経営幹部として一緒に働きたいと思える人材を見極めます。私は経営幹部への転職を支援する中で、伝えるべきことを伝えていないことで、素晴らしい事績をもちながらも、せっかくの機会を活かしきれなかった方々を多くみてきました。

 

経営者との面接において、ご自身の将来のキャリアイメージ、転職先でやりたいことなどを「どこまでお話をしてよいのでしょうか」というご質問をいただくことがあります。
私からは「全部お話をしてください」とアドバイスをおくっています。

 

経営幹部として企業とのご縁が生まれるときは、「ご自身の考えをしっかり持ち、何がしたいかが明確で自社が求める経営幹部像に一致する」「自社で具体的に何をしたいかの提案があり、経営幹部として一緒に働くイメージを持てた」といった評価を経営者から獲得しています。

 

ベンチャー企業の経営者は一緒に働きたい、一緒に企業を作っていきたいと思える経営幹部を求めています。謙遜や遠慮をせずに、ご自身のキャリアイメージを明確にして、入社後の活躍像を経営者に伝えることができれば、素晴らしい実績が評価され、新たなスタートをきることができるはずです。
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