2020/11/19
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戦略HRBPから見た、人・組織・事業・経営の現在&これから
第6回
企業における「ダイバーシティ」のリアル:多様性を増やせばいいってもんじゃない
- 組織
- 桜庭 理奈氏 35CoCreation合同会社 CEO
今日は、あるチーム内で実際に起こったダイアローグの引用から始めます。
Aさん「いよいようちのチームもコスト削減の施策を何らかの形で考えなければならない局面に差し掛かりました」
Bさん「会社は新しいことにチャレンジすると言いながら、うちのチームの業務負担は増えるばかりだし、前の仕事も引き続きやりながら、新しい仕事がその上に乗っかってくるだけ。経費削減で、ましてやチームの人数を縮小するなんて、考えられるわけありませんよ」
Cさん「確かに前から取り組んできたものを、すべて踏襲し維持しながら、単純に業務だけ増やせば、負担が増えるのは容易に想像がつきますね。では、もしこれを、チームが最大価値を生み出せることだけにフォーカスすることを考えるきっかけと捉えるのであれば、何が起こるでしょうか。続けるべきものもある中で、捨てるべきもの、辞めるべきもの、変えるべきものはないでしょうか」
Aさん「なるほど、そうですね。こういう機会がないと、実際には今までのやり方を変えて何かをさらに生み出そうというモチベーションや、私たちチームの本質的な存在意義の見直しなど、なかなか着手できませんよね」
Bさん「お二人が言っていることは頭では理解できますが、人の心はそう簡単に切り替えられるでしょうか。この有事を好機と捉えて、ポジティブなメッセージだけで引導するとすれば、チームメンバーの中には反発する人も出てくると思います。だからこそ、ロジカルに頭に訴えかけるメッセージだけではなく、彼らの心に訴えかけるメッセージや伝え方も大切だと思います」
Cさん「そこは確かに私の視点では欠けている部分ですね。そうするとこの3人のリーダーの間では、我々チームの存在意義と価値貢献について本質的な議論や見直しをするのには、良いタイミングと捉えつつ、痛みを伴う変革をチームメンバーにも理解してもらった上で実際のアクションに着手できるように、彼らへの感謝の念を忘れずにメッセージに盛り込むというのは、いかがでしょうか」
Bさん「それは良い案ですね。賛成です」
Aさん「私も同感です」
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