2019/02/01
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イマ、ココ、注目社長!
第8回
「ゲームプレイ」と「ゲーム観戦」をさらに上位のエンターテイメントへ昇華させる!【後編】
- 注目企業
- 組織
- 経営
- 経営者インタビュー
「人をどう大事にできるか」を、真剣に考え続けられる人が経営者である。
――ここまでやって来られて「経営者」ってこういうことだよなと思うことはありますか?谷田 今思いつくままに言うと、ピンチだったり、大変なことがたくさん起きていく中で、「経営者はバランス感覚が大事だ」と思うことが多いですね。何かをし過ぎることが重要であるときもあれば、そうでないときもある。成功を喜ぶときも、失敗を悲しむこともある。そういったことも含めてのバランス感覚です。
また、最近よく思うのは、「会社って結局は人なんだな」ということですね。人をどう大事にできるかを真剣に考え続けられる人が経営者ではないかと思っています。「仕事をがんばりたい」とか、「一生懸命働きたい」と思っている人がうちの会社に一人でもいる限り、その人たちのことを必ず良くしていくことをあきらめないということです。
高尾 谷田が言ったように、結構ピンチの連続だったりするんですよ。そのときに毎回反省しながら思うのは、「全ての物事に対して自分がちゃんと納得して行動できているか?」ということに尽きると思っています。つまり、「やりたくてやっているか?」とか、「納得してその行動をとれているか?」ということが大事だということです。何かピンチになったときに、最終的に責任だったり、行動を求められるのは我々経営者なので、そこが納得できてないと非常に苦しいというのはわかってきました。だから、まず自分自身にはそこを絶対徹底することが、経営者として求められることの一つだと思っています。
そして、会社という意味で言うと、いかに信じられる人を増やしていくかが大事だと思っています。「あなたがやりたいと言ってそれをやりきるんだったら僕はあなたを信用しているからオーケーだよ」というルールが一番いいなと思っているんですが、とにかく信用できる人を増やしていく、納得できる人を増やしていくことが、僕の目指している経営者像の一つかなという感じはします。
――なるほど。今社員の方が30名くらいということですが、ここからのチーム作りについては、どんなふうに考えていらっしゃいますか?
高尾 僕はやりたいことが明確なんですね。やりたいことというのは、要は「やる理由」じゃないですか。やる理由のことを僕たちは「思想」と言ったりするんですが、思想をまず強く持って、思想を強く言語化できる人、言葉にして人に説明できる人というのを僕は求めています。会社の方針としても、そこは大事にしているところなので、思想設計がしっかりできることと、それを言語化できることが一番の条件ですね。
――これはどの部分を担当するにしても共通するということですよね。
高尾 熱量や情熱ももちろん見ますが、ベースの能力としては、「思想設計力」と「言語力」を特に見たいですね。
ゲームにもっと市民権を!
――オリンピックという話も冒頭から出ていますが、お二人がここから目指されていることは何ですか?高尾 そうですね、どれくらいのスパンで話せばいいのかというところもありますが…今僕らが会社として掲げているビジョンの中の一つに、「ゲームにもっと市民権を」という言葉があります。日本においてゲームはまだ市民権を得られていないなと僕は思っていて。僕らウェルプレイドは、その市民権を得るための活動をもっとしていくべきではないかと思っています。もっとeSPORTSを日常に溶け込ませていきたいんですね。
国民的スポーツの野球やサッカーで考えてみると、毎日のように試合が行われていて、テレビやスマホでも見られるし、スタジアムに足を運んでビールを飲みながらみんなで応援したりもできる。そういう楽しみ方が確立されています。これがいわゆる市民権を得られているものだとして、そこに近づけていくことを僕は目指しています。
具体的に言うと、『ウェルプレイドリーグ』という自社リーグを立ち上げさせてもらっていて、あるタイトルごとにその模様を週1回配信しています。それが仮に7タイトルになれば週7でできるので、毎日見るものがあるという世界ができる。そのためには様々なことを並行して進める必要があるんですが。そういう世界を作れると、ちょっと日常に近づいてきますから、ここの世界をまず作って行きたい。
それに加えて、今は『イオンシネマ』さんと提携して、僕らが自分でやっているリーグの試合を、映画館でライブビューイングで見られるということもやっています。そうするとeSPORTSを映画館で見るという習慣が生まれてきて、より市民権を得られるというか。eSPORTSそのものがちょっと格式高くなっていくと思います。その一歩を今踏んでいるところですね。 谷田 イオンさんもすごく共感してくださって、「うちの名前でやるんだったらぜひこんな形でやりますよ」と賞金も出してくださって、映画館も貸してくださった。これも一つのとっかかりとしてはありがたかったですね。いつも買っているシネマのチケットの中に僕らの会社名が載っていて……。
高尾 これは感動します。僕もお客さんとして数回観に行ったんですが、最終回に行ったときは100人近い人がいて、生放送しているゲームの試合を見てみんな応援もするし、拍手もするし、本物のスポーツと何ら変わらない環境がそこにはありました。