2018/11/21
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成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」
第14回
組織の存在目的を問い続ける次世代の組織形態
- 組織
- 経営
成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」では、成功している経営者が注目している、読んでいる書籍をご紹介してまいります。
今回は、『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』。
当社コンサルタントの鳴海が、本書の読みどころをご紹介いたします。
経営者は、企業価値増大のため、常に組織のあり方を模索している。
ところが、多くの企業と経営者が、目標達成を重視するこれまでの組織パラダイムにとらわれているうちに、いつのまにか難しい問題に悩まされるようになってしまった。
競争に疲弊した社員の発生。過度なプレッシャーからくる不祥事。権限集中による不正。組織の病はどんどん大きくなっている。
このように従来型のパラダイムで動く組織が袋小路に入りつつあるなかで、次世代の組織形態、ティール(進化型)組織が躍動しはじめている。
ティール組織は、自主経営(セルフマネジメント)、全体性(ホールネス)、組織の存在目的の追求という三つの共通点をもっている。
極端な言い方をすれば、役職や階層は必要なく、個人ごとに自身がかかわる課題の意思決定を行い(自主経営)、会社に与えられた限定的な役割ではなく、個人が考える使命ともいえる職務を見つけ実行し(全体性)、組織がなぜ存在するのかを問い続け(存在目的の追求)、個人が自ら行動する組織である。
ティール組織の具体的な特徴としては、上下関係や中間管理職が存在しない、売上目標や予算が無いことなどが挙げられる。
これらの共通点や特徴を聞いて、皆さんはどのような組織形態をイメージするだろうか。
ほとんどの方は小さい規模の企業や非営利組織を思い描くのではないだろうか。
本書では、そういった予測を見事に裏切り、ITコンサルティング会社、学校法人、金属メーカー、病院、食品加工会社、アパレル企業など、企業の規模や地域も異なる様々なティール組織が挙げられている。
自主経営を徹底し生産ノルマやタイムカードを撤廃して業績を上げたメーカー、職場を自由に装飾することを推奨する看護・介護サービス組織、商品の不買広告でリサイクルを促進するアパレル企業、・・・といった成功例は、従来型の組織とはまったく異なる原理で動く、新しい組織の在り方をリアルに示してくれる。
こういったティール組織のコンセプトと実例は、組織課題に直面しているすべての経営者やリーダーにとって、現実的に使える多くの知見をもたらしてくれるだろう。コンセプトと空想の本ではなく、目の前の組織改善に使える本としてお勧めしたい。
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