2015/11/16
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スペシャルコラムドラッカー再論
第1回
実務経営者にとってのドラッカーの魅力の理由=「真摯さ」
- エグゼクティブ
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
その理由については、おいおい触れていきたいと思うが、まず、確認しておきたいことは、「なぜ、私たち、実務経営者にとってドラッカーは魅力的なのか」についてだ。僕はその理由は、ドラッカーの説いたキーワードのひとつ、「真摯さ」にあると思っている。
“経営管理者が学ぶことのできない資質、習得することができず、もともともっていなければならない資質がある。それは、才能ではなく真摯さである。”
“真摯さに欠けていたのでは、いかに知識があり、才気があり、仕事ができようとも、組織を腐敗させ、業績を低下させる。”
“部下たちは、無能、無知、頼りなさ、不作法など、ほとんどのことは許す。しかし、真摯さの欠如だけは許さない。”
“真摯さに欠ける者は、いかに知識があり才気があり仕事ができようとも、組織を腐敗させる。”
「成果をあげる人間のタイプなど存在しない。成果をあげる人たちは、気性や能力、仕事や仕事の方法、性格や知識や関心において千差万別である。」と事実を喝破したドラッカーが、唯一の共通的資質として、絶対必要条件にあげたものが「真摯さ(インテグリティ、integrity)」だった。「真摯さ」とは、なんだろう。それは、理想・理念と現実・現場とを、一貫したものでつなぐ姿勢と行動だ(と、僕は解釈しているが、いかがだろうか?)。ドラッカーが経営実務においてインパクトを及ぼしつつ、その高貴さ・深遠さを同時に醸し出すのは、このことによる。「社会生態学者」「歴史の観察者」と言われるドラッカーが、経営・マネジメントの現場を生涯見続け、そこから導き出された原理原則がマネジメントの、マーケティングの、イノベーションの理想型から1ミリ足りとも外れないことが、ドラッカーのドラッカーたる所以であり、また、だからこそ、僕たちは、いま、ドラッカーが生きた時台を超えて、その残した教えに再度学ぼうとしている。経営者各位の日々の執行とキャリアを見続け、その支援に奔走している一介の者として、これから皆さんと共に、ドラッカーが残してくれたものを、一つひとつ紐解いていきたいと思う。