2018/08/09
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第3回
人生100年時代! 仕事を続けられる人になる3つのポイント
- キャリア
- ビジネススキル
- 前川 孝雄氏 株式会社 FeelWorks社長・株式会社働きがい創造研究所会長・青山学院大学兼任講師
自己統制できる仕事は働きがいにもつながります。ただし、これは上司から言われた仕事を拒め、ということではありません。むしろ、言われた仕事の目的や背景から洞察し、期待を上回るような仕事や役割を提案し創り出すことを指しています。
2つ目は、「周囲の人たちを巻き込む」ことです。
周囲の人たちとは、社内の先輩や上司、後輩、経営層、社内の同僚・他部署、社外ネットワークなどを指します。優秀な人が陥りがちなわなに、自ら仕事や役割を作ることと現状批判することを混同し、かつ批判にとどまり周りが動いてくれないことに不満をためる傾向があります。
しかし、自ら仕事や役割を作ったとしても、それを実現しなくては自律した働き方とはいえません。たいていの場合、仕事は一人では完結せず、多様な人たちとの協働によって成り立っています。仕事を続けられる人になるには、言ったことには責任を持ち、当事者意識をもって実現のために周りに働きかけるのです。そうして、自分を動かす仕事から人を動かす仕事へシフトするべきなのです。
3つ目は、「しっかりと成果、結果を出すこと」です。
仕事を続けていくためには、そもそも自分が手掛けた仕事が誰かの役に立ち、その結果としてしっかり収益に結び付かなければいけません。私は働きがいを得るためには、お金を働く目的にすべきではないと考えていますが、仕事を続けていくうえで結果としていくら稼げるかを計算できる思考は大切です。
上司の評価によって給料が上がった、下がったと、一喜一憂するビジネスパーソンが多いですが、その状態は仕事を失う人の思考の典型です。仕事を続けられる人になるには、自分はどれだけの成果を出しどれだけの収益を生み出したのだから、そこから拠出される正当な報酬はいくらです、と計算できる思考を持たなくてはいけません。
つまり、自律するには、自分の介在価値を客観的に把握することが欠かせないのです。
ビジネスとは、つまるところ商売です。
商売人であれば誰しも、自分がいくら売り上げて、いくら原価や経費がかかって、利益がいくら手もとに残るか意識しながら働いています。もちろん営業職についている人であれば、売り上げ目標を持ち、値引きの下限なども意識して働いているでしょうが、それだけでは食える人ではありません。
まずお客さまの役に立つことが第一。
その結果、生まれた会社の収益のうち、自分の貢献度がどの程度で、税金や社会保険料まで勘案して、手取りいくらになる、と自分の収入に落とし込めて、はじめて仕事を続けられる人の仲間入りなのです。これからは、お金に振り回されないためにお金に強くなるべきなのです。
戦後の高度成長期を経てバブル経済崩壊後、この国は再浮上のきっかけをつかめそうでつかみきれずに平成の30年間を過ごしてきたように思います。
社会課題は山積すれども、ポスト平成時代にこの国がもう一度輝き、働く一人一人が希望を育んでいくためには、政治や行政が変わることや、カリスマ的なリーダーが登場することを待つのみでは心もとないと思いませんか。
一人一人が依存心を戒め、自律的に働き生きていく、そんな自律できた人同士が互いに尊重し連携し合うことこそが、明るい未来を築いていくと私は考えます。
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■書籍情報
『「仕事を続けられる人」と「仕事を失う人」の習慣」』
著者:前川孝雄
出版社: 明日香出版社
価格:1512円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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