2018/08/02

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第2回

結局Focus&Deepが重要

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■君たちの卒業論文の中身なんか誰も興味はないのだよ……Focusの重要性

材料物性工学科の学生であった私が、研究室のY教授からかけられた言葉です。大学4回生は、最終年度の2月に30分程度の卒論発表を行います。 学生であった私たちは、必死に良い論文を作ろうとしていました。正確に表現すると、少なくとも私はそうでした。 しかし、Y教授は、大事なのは中身ではなく、発表だと言い切ったのです。 その結果、私たちの研究室だけは、論文の提出締め切りを大学の公式締め切りの1週間前に設定されることになりました。 その1週間に何をしたのか?

やったことは、発表のレベルアップでした。具体的には、発表資料を見やすくすることと発表の練習でした。発表資料を何度も作り替え、どこに色を付けると効果的かアドバイスをもらいました。今でいう1スライド1メッセージを徹底的にたたき込まれたのです。発表も録画し、自分の癖を知り、それを改善することを求められました。8ミリビデオがまだまだ高価な時代です。助手だったMさんが私物を持ってきてくれたのを覚えています。

 

1週間、時間があったので、空き時間には、論文の誤字脱字などを見つけ、修正などを行い、論文自身も読みやすくすることができました。そして、卒論発表当日。緊張しましたが、何度も予行演習をしていたので、かなり良い発表ができました。質疑応答もそつなく回答できました。結果、私たちの研究室の4年生は評価が軒並み高いものとなったのです。

 

一方、他の研究室の学生は、論文制作で精根尽き果ててしまい、プレゼン資料の方は、ぶっつけ本番になっている学生が大半でした。当然、質疑応答の準備などできるはずもなく、しどろもどろになっていたのです。

 

Y教授のアドバイスがなかったら、彼らの姿は私の姿になるところでした。同じ大学、同じ学科の同じレベルの4年生でも、重要なポイントにFocusをするだけで、成果に大きな差が出ることを体感した経験でした。

 

■世の中には2種類のバカがいるのだよ……Deepの重要性

これも前出のY教授とのエピソードです。理系の学生だった私は数字が好きでした。いろいろな仮説を作り、それをベースに数字で議論をするのが得意でした。そんな私へのアドバイスでした。

「世の中には2種類のバカがいる。一つは数字で何でも分かると思っているバカ。もう一つは数字では何も分からないと思っているバカ。どっちになってもいけない。

 

正しく仮説ができれば7割くらいのことが分かる。大概のことは7割で判断ができる。しかし、本当に重要なことは残りの3割にあることも多い。ここは数字で表せない感性の世界。これも意識しないといけない」

 

数字大好きだった私が、数字に加えて感性で深く(Deep)物事を見る重要性を知った経験でした。

 

■神は細部に宿る……そのために他の事は効率的に行うことが大事

これは私が2018年3月までいた会社の上司であるNさんの言葉です。重要な仕事をする場合、細部まで気を配らなければいけないというアドバイスです。

 

ここまでだと、よく聞く話かもしれません。しかし、Nさんの話には続きがありました。神は細部に宿るのだけれど、全ての仕事にそんなことはできない。乾坤一擲(けんこんいってき)、ここぞという仕事に対して、細部まで気を配らないといけない。

 

 

プロフィール

  • 中尾 隆一郎氏

    中尾 隆一郎氏

    FIXER 執行役員副社長

    1989年大阪大学大学院工学研究科修了。同年リクルート入社。リクルート住まいカンパニー執行役員(事業開発担当)、リクルートテクノロジーズ社長、リクルートワークス研究所副所長などを経て、現職。旅工房 社外取締役を兼任。

    著書に「リクルート流仕事ができる人の原理原則」「営業マン進化術」「転職できる営業には理由がある」など成長し続ける組織つくりを支援するTTPS勉強会主催。

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