2018/04/16
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スペシャルコラムドラッカー再論
第118回
上司が果たすべき、成長支援の役割。
- エグゼクティブ
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
「企業が人の成長を請け負うなどということは法螺にすぎない。成長は一人ひとりの人間のものである、その能力と努力に関わるものである。いかなる企業といえども、自己啓発に関わる努力の肩代わりをすることはできない。求められてもいない。間違った家族主義どころか、ばかげた虚勢である。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
これまた辛辣なドラッカーのものの言い方だが、では、マネジメントが人の成長に対してできること、果たすべき役割とは、いったいどのようなものなのだろう?
それは、ひとつには自らが学ぶ/自己啓発をし続けている姿勢であり、もうひとつは教えようとすることだとドラッカーは言う。
「自己啓発にとって、自らの自己啓発に取り組んでいる上司ほどよい手本になるものはない。人は上司を手本とすることによって、自らの強みを伸ばし、必要な経験を積んでいく。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
逆に言えば、部下をくじけさせる上司、人ができないことにばかり目のいく上司、成長につながる経験を積ませてくれない上司ほど、自己啓発の邪魔になるものはないのだ。
そしてもうひとつ、明日のリーダーを見つけ育てることこそ、企業・組織において最高の人物が手掛けるべき仕事となっているとも、ドラッカーは述べている。
「今日のマネジメントにとって、明日のマネジメントを育てることを期待されることほど、彼ら自身の意欲、ビジョン、成果に効果のあることはない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
人に教えることほど自らの勉強と成長につながることはなく、人の自己啓発を助けることほど自らの自己啓発に役立つことはない。
人の成長に手を貸すことなく自らが成長することはありえず、自らの自身に対する要求水準が上がるのは、人の成長に手を貸すときなのだ。
「仕事のできる人間をつくりすぎてしまうという昔ながらの危惧を抱く必要はない。(中略)優秀な人材を育てているとの評判には、優秀な人材を惹きつける力があるというべきである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
あらゆる企業にとって、自らのマネジメントに対してマネジメント教育の機会を提供することは、必然であり、最も投資対効果のある人材育成手段なのだ。
(続く)
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