2017/05/11
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スペシャルコラムドラッカー再論
第72回
戦略計画「ではないもの」は何か?
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
なぜ、長期計画(何が短期で何が長期かは、時間の長さでは決められない、とドラッカーは述べている。その差は、どれだけの期間に渡って影響を与えるものかであるとしている)が必要か。
それは、「われわれの事業は何か」「何になるか」とは別に、「われわれの事業は何であるべきか」を検討しなければならないからだ。
「今日のトレンドを単純に引き延ばし、今日の製品、サービス、市場、技術がそのまま明日のそれであると仮定し、資源とエネルギーを昨日の防衛に使うようなことがあってはならない。しかし、「われわれの事業は何か」「何になるか」「何であるべきか」についての計画は統合する必要がある。そのうえで時間軸によって短期と長期に分ける。そして誰かにとっての具体的な仕事とする。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
したがって、我々経営者が必要としているものは、単なる長期計画ではなく、戦略的意思決定、戦略計画である、とドラッカーは言う。
そこでまず、ドラッカーは面白いアプローチをする。まず、「戦略計画とはいえないもの」を知ろう、とのことだ。
「戦略計画とはいえないもの」について、ドラッカーは次の4つを列挙する。
(1)第一に、戦略計画は魔法の箱や手法の束ではない。思考であり行動である。
(2)第二に、戦略計画は予測ではない。未来は予見できない。予測が当てにならないことはすぐにわかる。
(3)第三に、戦略計画は意思決定に関わるものではない。それは、現在の意思決定が未来においてもつ意味に関わるものである。
(4)第四に、戦略計画はリスクをなくすためのものではない。最小にするためのものでさえない。そのような試みは、最後には、不合理かつ際限ないリスクと破滅を招くだけである。
どうだろう?皆さんは、上記の4つをご覧になって、ストレートに「そうそう」と腑に落ちて理解できただろうか?
私は正直、初見では、「わかったような、しかし、具体的に捉えきれない」なんともモヤモヤとした気持ちとなった。
皆さんなりの「戦略計画とはいえないもの」4つについて、ドラッカーばりの解説を試みて欲しい。
次回、ドラッカーはそれぞれについて、要するにどのようなことを言っているのか、について紐解いてみることにする。
(続く)