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2017/03/27

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スペシャルコラムドラッカー再論

第67回

マーケティングの目標。

  • マーケティング
目標の設定において、その中心となるのは「マーケティング」と「イノベーション」である。なぜなら、

「事業が成果を得るのは、この二つの領域においてだからである。顧客が代価を支払うのは、この二つの領域における成果と貢献に対してである」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

からだ。

ドラッカーはここにおいても、執拗に、「あらゆる目標は、成果についての目標でなければならない」と念を押す。
意図、ではなく、行動。
目標とは、単なる計画ではなく、実行され成果を得るものでなければならない。

さて、まずはマーケティングについての目標だ。
その目標を挙げれば、「既存市場における既存製品についての目標」「既存製品の廃棄についての目標」「既存市場における新製品についての目標」「新たな市場についての目標」「流通チャネルについての目標」「アフターサービスについての目標」「信用供与についての目標」といった複数の目標が存在するとドラッカーは言う。

「しかしこれらの目標が、実は、二つの基本的な決定を行ったのちでなければ設定できない。すなわち、集中の目標と市場地位の目標である」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

「集中の目標」とは、戦場の決定~われわれはどこで戦うのか、という基本中の基本とも言うべき重大な意思決定を指す。
限られたリソース、また自社の強みを、最も効果的な市場に対して集中砲火させること。成功企業の鉄則だ。

「市場地位の目標」は、適切な市場セグメントの中において最適なポジションを確保することを指す。

「あらゆる企業が、同一の市場において、同時にリーダー的な地位を占めることはない。いかなるセグメントにおいて、いかなる製品、サービス、価値においてリーダーたらんとするかを決定しなければならない。売上げが伸びても市場シェアが後退すれば、つまり市場の拡大が自社の売上げ増加よりも急ならば、喜ぶべきではない」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

市場シェアが小さな企業は、やがて限界的な存在となり脆弱な存在となってしまうし、逆に独占的に市場を支配してしまうと逆に市場競争が損なわれ、市場の成長を損ねたり、安易な自己満足の結果、サービスの質を落とし顧客からの信頼を失ったりする危険がある。

「市場において目指すべき地位は、最大ではなく最適である。市場シェアとして狙うべきは、上限ではなく最適である。そのためには、顧客、製品、市場、流通チャネルの分析を必要とする。戦略を必要とし、リスクを伴う意思決定を必要とする」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

土台としてしっかり確認・設定すべき、「集中の目標」と「市場地位の目標」。マーケティングの目標は、まずここから出発するのだということを、軸として押さえているか否かで、実は中長期的な雌雄は決されている。

※経営者は孤独だ。独りでこれらの作業を行うことには自問自答の迷いも多く、正しい道に進んでいるのかの道しるべも欲しくなる。
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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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