2016/11/07
1/1ページ
スペシャルコラムドラッカー再論
第49回
改めて、「マネジメントとは、何か」を確認する。
- エグゼクティブ
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
皆さんも事業にドライブをかけていらしゃることと思う。年度の折り返しといいつつも、気が付けば2016年は残すところあと2ヵ月。早い会社は年末から、概ねの各社は年が明ければ、次年度2017年度の経営計画の詰めに入る時期となる。
ドラッカーを再確認していく当コラムとしては、この時期だからこそ、一度、改めて、「そもそも、マネジメントとは、なんだ」ということについて確認してみたい。
ドラッカーは『マネジメント —課題、責任、実践』で、こんな風に述べている。
「マネジメントとは、マネジメントを実践する存在でなければならない。経済学を実践するのではない。定量化を実践するのでもない。行動科学を実践するのでもない。それらは、マネジメントにとってツールであるにすぎない」(『マネジメント
—課題、責任、実践』、1973年)
よく言われることであるが、「経営学と経営は、異なるものだ」と、僕もそこここで言い続けてきた。理論と実践は異なるものであることは、経営現場にいらっしゃる皆さんであれば、当たりま過ぎるくらい当たり前の前提だろう。
「マネジメントに特有のスキルというものはある。その一つがコミュニケーションである。あるいは、不確実性のもとにおける意思決定である。あるいは戦略である」(『マネジメント
—課題、責任、実践』)
マネジメントとは、スキルなのだろうか。ドラッカーは、上記のように触れた上で、次のように言う。
「一つの体系として、マネジメントには特有の問題、アプローチ、関心がある。実は、マネジメントの体系を理解しているならば、マネジメントのスキルに優れてはいなくとも、マネジメントとして、しかも一流のマネジメントとして成果をあげることができる。逆に、マネジメントの体系を理解していなければ、いかにマネジメントのスキルに優れていようとも、とうていマネジメントたりうることはできない。せいぜいのところがスペシャリスト止まりである」(『マネジメント
—課題、責任、実践』)
ドラッカーは、生涯をかけて、実践としてのマネジメントにこだわり尽くし、そのための「スキルではなく、体系」を世界中の経営者に伝えようとされていた。
「マネジメントとは、科学ではなく実践である。(中略)それは知識そのものではなく仕事である。数字の操作は当然のこととして、常識やリーダーシップさえ超えるものである。知識と責任を基盤とするものである」(『マネジメント
—課題、責任、実践』)
ドラッカーが集成した、マネジメント実践のための体系。その全体系を手に入れ、体得し日々臨めば、経営者にとって怖いものはなくなる。