2016/10/31
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スペシャルコラムドラッカー再論
第48回
協業の意味・価値
- エグゼクティブ
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
こういう時代に、自前主義は流行らない。如何に適切なパートナーと組み、自社だけではなしえない事業・サービスを世に提供できるかが問われている。
ドラッカーは、これからはコラボレーションの時代だ、と言った。そして顧客が求めるものを提供するには、次の二つの原則に従う必要があると述べた。
「顧客が必要とするものを提供するには、二つの原則に従わなければならない。第一に、強みとすることだけを行わなければならない。第二に、その他のことについては、それを強みとする者とコラボレーションしなければならない」
その上で、コラボレーションを行う上で考えるべき問いを3つ挙げている。
1)コラボレーションの目的は何か?それまでの方法の何が問題か?コラボレーションの利点は何か?
2)コラボレーションをいかに組み立てるか? フロントルーム(本業)とすべきものは何か? 得意とするものは何か? 他の組織が得意とするものは何か?
3)コラボレーションをいかにして行うか? いかにして成功させるか? いかにして失敗を防ぐか?
少し禅問答的にも思える問いだが、もしいま、ゼロ―ベースからその事業を始めるとして、理想的なスタイルはどのようなものかを考えてみればよい。
あたりまえだが、お互いがWIN-WINで、協業することで共にメリットを得られる、自然な形態か否かが、結局は問われるのだから。
協業がうまい会社と下手な会社が存在するのは事実だ。ひとつの事実として、内部にリソースを既に抱えてしまっている既存企業は、そのサンクコストゆえに、なかなか合理的・相乗効果的なコラボレーション体制を取ることが難しいことが多い。
コラボレーション型事業がスピード×インパクトを出しやすいこの時代、勝負は新規参入のベンチャーにこそあると感じることが、非常に多い。
規模や歴史が障害となる時代。これも構造や価値観の逆転、断続の時代に我々は立っているということの、ひとつの証明なのだと実感する。