TOP スペシャルコラムドラッカー再論 中小企業、ベンチャーほどトップマネジメントチームを持たなければならい。

2016/08/22

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スペシャルコラムドラッカー再論

第39回

中小企業、ベンチャーほどトップマネジメントチームを持たなければならい。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
戦略コンサルティング(マッキンゼーやBCGなど)の理論や多くの経営戦略書は、大手企業向けに書かれており(対象顧客が大手~超大手なので)、中小企業やベンチャー企業には当てはまらないことが多い。
そうした論が多く語られるし、ある意味、それは概ね事実であることが多い。

ドラッカーについても、上記同様、大手企業向けのマネジメント論、経営論とみられている向きも多いようだ。
しかし、ドラッカーを実際に読み込まれている方々はご存知の通り、ドラッカーはベンチャー企業への言及、また、営利企業のみならず非営利企業(教育機関や公的組織、NPOなど)についても多くを語っている。

今回は「小企業(中小、ベンチャー)」のトップマネジメントについてドラッカーが述べている部分をご紹介してみたい。

「小企業は、大企業以上に組織的かつ体形的なマネジメントをもたなければならない。確かに大仰な本社スタッフは要らない。込み入った手法や手続きも要らない。そのようなものをもつゆとりはない。だが、高度のマネジメントはもたなければならない」(『マネジメント——課題、責任、実践』、1973年)

その理由を4つ、挙げている。

1)小企業は限界的な存在にされてはらないために、際立った戦略を持つ必要がある。有利に戦うニッチを見つけるためにも優れたマネジメントチームが必要。(「われわれの事業は何か。何であるべきか」を問い、それに答える必要性は大企業にも増して大きい。)

2)専任のトップマネジメントが一人で充分という組織の規模で、トップ自身が幾つかの職能別の分野を担当しているがゆえに、基幹活動の幾つかが力を入れられることなく放置されがちだ。だからこそ、トップマネジメントチームのメンバーの役割を組織化する必要がある。

3)小企業には、人材が足りない。したがって、集中が不可欠である。旗艦活動を識別し、トップマネジメントチームの誰かの仕事にしない限り、集中は行われず、分散してしまうのだ。

4)小企業は、独自の情報システムを持ち、限られた人・金をすべて成果に結びつける必要がある。そのためのトップマネジメントの仕組みと体制が不可欠だ。

中小企業やベンチャーは、大手のような豊富な体制を持つわけにはいかない。
しかし、そのことは、大手に比べて劣った体制でよい(しかたない)ということでは、決してない。

逆に、だからこそ、一流のマネジメントをもたなければならないのだ。

確かに、優れたベンチャーや中小企業は、大手を凌駕する経営者・経営チームと、ニッチを鋭く突く戦略と実行力で、存在を煌かせ、事業活動で花を開かせる。
イケている成長ベンチャーや中小企業は、「カッコいい経営チーム」を持っているものだ。

いまや、少数精鋭チームのほうがスマートな時代。中小企業、ベンチャー企業だからこそ、大手以上のトップマネジメントチームを構え、果敢に市場に攻め込むことが楽しい。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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