TOP スペシャルコラムドラッカー再論 「成果を上げる」とは?

2016/05/30

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スペシャルコラムドラッカー再論

第28回

「成果を上げる」とは?

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
我々は、何のために事業・経営を行っているのか?
それは、自社が提供する事業(サービス・商品)を通じて成果を上げるためだ。

経営者として、上司として、よくこんなことを思う。

「あいつ(=部下)は、仕事の目的を分かっていない」

なぜ、そのようなことが起きるのだろう?
そして、そう言っている自分は、本当に正しい仕事の目的、成果を分かっているのだろうか?

「そもそも自らをマネジメントできない者が、部下や同僚をマネジメントできるはずがない。マネジメントとは、模範となることによって行うものである。自らの仕事で業績をあげられない者は、悪しき手本となるだけである」「ほかの人間をマネジメントできるなどということは証明されていない。しかし、自らをマネジメントすることは常に可能である」(『経営者の条件』1966年)

背筋の伸びるドラッカーの言葉だ。
そのドラッカーがいう成果とは、何だろう?

「理解力があり、懸命に働き、知識があるだけでは十分ではない。成果をあげることはこれらとは違う何かである」(『経営者の条件』)

知識社会の到来を予見したところから、ドラッカーによるマネジメントの体系化はスタートしている。知識社会においては、トップマネジメントやエグゼクティブは、組織を通じて成果をあげることが求められると、ドラッカーは繰り返し力説している。

「ほかの人の仕事ぶりに責任を持つ経営管理者であろうと、主として自分の仕事だけに責任を持つ独立した専門家であろうと、成果を上げることに対して報酬を支払われることに変わりはない。成果をあげないならば、いかに多くの知力と知識を使い、いかに多くの時間を使おうとも業績とはならない」(『経営者の条件』)

知識や懸命な働き、時間に対して報酬を支払われているのではない。成果に対して支払われているのだ、と。

「成果をあげる者は社会にとって不可欠な存在となっている。同時に、成果をあげることは、新入社員であろうと中堅社員であろうと、本人にとっての自己実現の前提となっている」(『経営者の条件』)

成果の本質をしっかり理解せよ、それは自己実現の前提ともなることなのだ、と。

ここまで、何か、禅問答的にも感じるし、勿体ぶった言い回しにも聞こえることとと思うが、では、その「成果」とは、一体、何だろう?
次回、詳しく見てみたい。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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