TOP スペシャルコラムドラッカー再論 イノベーションを、どう評価すべきか?

2016/04/25

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スペシャルコラムドラッカー再論

第23回

イノベーションを、どう評価すべきか?

  • マネジメント
人も組織も、評価されないものに対してコミットするということは(ゼロではないが)ありえない。

「企業は自らの業績評価にイノベーションの成果についての評価を組み込まなければならない。企業家的な成果を評価して初めて企業家的な行動はもたらされる。人も組織も期待に沿って行動する。ところが、自らの業績の評価にイノベーションの成果を入れている企業は驚くほど少ない」(『イノベーションと企業家精神』1985年)

ドラッカーは、しかし、イノベーションの成果の測定、その評価を自社の業績評価に組み込むことは特段難しいことではないと言い切っている。

まず第一に、「成果を期待にフィードバックせよ」と、ドラッカーは言う。文脈的に少し難解な部分なのだが、事前の期待値に対しての実行成果をFBすることで今後の期待値の調整を行え、と僕は読んだ。

そして第二に、イノベーションに関わる「活動全体を定期的に点検」せよ、と言う。どのイノベーションが新しい機会をもたらすか、逆に期待通りに進んでいないものはどれか。どのイノベーションに力を入れ推進するか、どれを諦めるのか、期限付きで判断を下すのか、について決めることが必要だ。

第三に、「イノベーションの成果全体を、イノベーションに関わる目標、市場における地位、企業全体の業績との関連において評価することである」(『イノベーションと企業家精神』)。

プロアクティブにイノベーション活動を推進しFBループを回し、それに応じて、更に期待できるものと期待できないものとを仕分け、活動全体を満たしチェックし、市場や全社の既存事業を含めた全体でレビューせよ、と。
しかし、ドラッカー自身が認めている通り、イノベーションの成果は、必ずしも定量化できるものばかりではない。シーズであるがゆえに、あいまいなもの、定量化・計測しにくいものが多く含まれているだろう。

ではどう判断すればよいのか?ドラッカーは言う。

「(判断のための)特に重要な意味を持つ問いが、イノベーションにおいてリーダーシップをとっているかどうかである。あるいは、リーダーシップを維持しているかどうかである」(『イノベーションと企業家精神』)

自社がイノベーションを発揮すべき領域は、自社が顧客や市場からリーダーとして受け入れられるか、基準の設定者として認められるか否かなのだ。先頭に立てるか否か、で自社のイノベーションの成果を判断せよ、と。

逆に言えば、自社が顧客や市場からリーダーとして認められない、基準の設定者として認められないのであれば、その領域のイノベーターにはなれない、ということでもある。
さらりと、本質的かつ厳しいことを、ドラッカーは指摘している。

さて、我々がイノベーションとして取り組んでいる事業・領域でのパフォーマンスは、どうだろうか?

(続く)

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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