TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 人生とは今日1日のことである。「今ここ」に集中できる人が成功も幸福も手にするワケ

2023/06/22

1/2ページ

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第158回

人生とは今日1日のことである。「今ここ」に集中できる人が成功も幸福も手にするワケ

  • キャリア
  • ビジネススキル
 

60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
 
 
今日という1日、この24時間は、あらゆる人に平等に与えられている唯一のものだが、「24時間をどう使うのか」という問いは、人類にとって永遠の課題である。

後悔したくなければ、今日1日に集中するしかない

今日という1日。この24時間。   それは、あらゆる人に平等に与えられている唯一のものです。性別や容姿、年齢、能力、資産、社会的地位などは人によって異なりますが、1日の長さだけは、誰にとってもまったく同じです。   同時に、「24時間をどう使うのか」という問いは、人類にとって永遠の課題であるといえるでしょう。   紀元前に生きたローマ帝国の哲学者セネカは、自身が記した『生の短さについて』の中で、「何かに忙殺される人間の生きる生がどれほど短いか」と、常に時間に追われている私たちにとって、非常に耳の痛い言葉を残しています。

ゲーテは「人間は現在がとても価値のあることを知らない」、ミケランジェロは「時間の浪費ほど大きな害はない」と語り、アメリカの著述家デール・カーネギーは「人生とは今日この日のことである」、アメリカ合衆国建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリンは「今日という1日は、明日という日の2日分の値打ちがある」と述べています。
 
このように紀元前から現代まで、古今東西のあらゆる人たちが、「二度と戻らない今日というこの日をどう生きるべきか」について真剣に考え続けてきました。それは、きっと人の生があまりにも短く、一瞬たりとも止まることなく進み続けるからでしょう。
 
また、どう万全を期そうとも未来は常に不確定で、起きてしまった過去は変えられません。結局、死を迎えるまで、私たちにできることは、今日1日をどう生きるかだけなのです。

「今日」を自分の手に取り戻すには

では、24時間をどう使うことが、ビジネスの成功や充実した人生につながるのか。どうすれば、今日を自分のために使ったことになるのか。
 
答えは、「今、目の前のことにただ集中すること」。
 
未来のためでもなく、生産性や効率化を求めるためでもなく、ただ、目の前のことに集中する。それこそが、最も幸福を感じられ、最大限の結果を手に入れる方法であるといえます

「幸福に必要なことは、心身が今に集中することである」――ハーバード大学キリングワースとギルバートの研究

目の前のことに集中することは、人生の幸福度を上げてくれます。
 
これは、ハーバード大学の心理学者、キリングワースとギルバートの研究によって明らかにされています。
 
キリングワースらは、オリジナルのiPhoneアプリを使い、13か国の、18歳から88歳までの5000人を対象に、「今、何をしていますか?」「今、どんな気持ちですか?」「今やっていること以外のことを考えていますか?」といったさまざまな質問をし、回答を集めました。
 
その結果、46.9%の人が、何かをしているとき、そのこととは関係ないことを考えていること、そして、今やっていることと考えていることが違うときは、一致しているときよりも幸せを感じていないことが分かりました。
 
つまり、目の前のことに集中できていないとき、人は幸せを感じづらく、集中できているときには幸せを感じやすいのです。
 
この結果を受け、キリングワースとギルバートは、科学誌『Science』に掲載された論文で、「幸福に必要なことは、心身が今に集中することである」と述べています。
 
おそらくみなさんも、時間を忘れるほど何かに集中できたとき、ゾーンに入ったときに、大変な充実感、満足感、幸福感を覚えたという経験があるはずです。

プロフィール

  • 堀田 秀吾氏

    堀田 秀吾氏

    明治大学法学部教授 言語学博士 

    熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学修士課程修了・博士課程単位取得退学。

    専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、神経言語学、法言語学、コミュニケーション論。研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学などさまざまな学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を多数刊行している。「明治一受けたい授業」にも選出されるなど学生からの人気も高い。『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『図解ストレス解消大全 科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SBクリエイティブ)など著書多数。

    この登場者の記事一覧をみる