2022/04/15
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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える
第32回
専門職と経営職、どちらを目指すか
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先日ある方から「今後のキャリアを考える上で、今の職務で専門性を深め専門職となっていくか、経営職を目指すかを迷っています。いずれかの選択肢を決めるためにはどのようなことをどう考えればよいでしょうか。」とご相談をいただきました。
この方は35歳、1つのことを突き詰めて考えるのが好きで、自分は専門性を深めていくほうがあっているように思っています。しかし、会社や上司からは、(相談者には)適性があるから将来経営職を目指してほしいと言われており、今後の方向性を考えていました。
岐路に立った時には将来の自分を想像してみる
キャリアの岐路に立つ方には、10年後・20年後のご自身を想像してみることをすすめます。技術が進化し、事業環境が変化する中でも年齢問わずにある領域のスペシャリストとしてご自身の専門を突き詰め、専門的知識経験をもって企業に貢献したいと考えるのか。あるいは全社(or部門)全体を捉えながら周囲を導き、一人でできることよりもより多くの成果につながる貢献をしたいか。前者のイメージが強ければ専門職として道を究めることも良いでしょうし、後者であれば、ぜひ経営職へのチャレンジを考えてみてください。ただし、前者のタイプの方が経営職に向かないということではありません。
専門職には2つのタイプがある
専門職として専門性を突き詰め、技術や管掌領域をより深堀して大きな成果をあげようとすると、予算や人事の権限を持てるかどうかが大きなポイントになります。例外はあるものの、多くの日本企業では、予算や人事の権限は専門職ではなく経営職に与えられていることを認識する必要があります。そう考えると、専門職にはある領域のプロフェッショナルとしてその道のみを突き詰めていく職人的なタイプの他に、領域のプロフェッショナルを束ねる専門的経営職タイプも存在します。最近増えているCDO(Chief Digital Officer)も後者のひとつの例とも言えます。専門職として何かを突き詰めていった結果、経営の意思決定側に立つこともあるのです。
経営職にも1つのことを突き詰めて考えることが必要である
1つのことを突き詰めて考えることができる方が新たな領域に取り組んだ時、それまでご自身では想像しなかったようなやりがいや面白さを感じ、関連領域について興味がわき、より広い視点で物事を考えることができるようになることもあります。事業を俯瞰的に捉え、会社(or部門)全体の未来に関する意思決定をしていく経営職には、組織を構成する様々な要素の知識・経験を深めていくことが求められます。
さらに、事業をどうしていくか、世の中(or組織)にどう価値貢献していくかという点において、より広い視野の中で会社(or部門)という1つのことを突き詰めて考えていくことが必要になるのです。
35歳という年齢は、新たな視点に立つにはよい年齢です。
仮に、10年後、45歳になった時に、同じチャレンジができるかを考えると、ハードルが格段に上がります。年齢と共に柔軟性も失われがちですし、新しいことにトライする時には過去の自分にこだわらずに柔軟に対応する必要が出てくるため、ご自身にとって今以上の覚悟が必要になるからです。
これからのキャリアを考えるにあたって、専門職と経営職の2つで比較をするのではなく、専門職にも2タイプあることを意識し、3つのうちでご自分が最もなりたいと思う姿を目指してみてください。