2022/05/09
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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える
第34回
複数社から内定が出た際に、何を以て最終決断するべきか
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転職活動の末に、複数社から内定をもらい迷っている。そんな状況を経験された方もいらっしゃるでしょう。
こうした際に、最終意思決定についてどのように行うべきでしょうか。
これから活動に入る皆さんにも、いざというタイミングで迷ってしまわないよう、参考にしていただきたいことをお話しします。
まずは判断軸の整理が大切
最終決断をする上では、何を以て優先度をつけるのかという、判断軸の整理が重要です。その参考例をいくつかご紹介します。・自分の求めていること、求めていないことは合致しているか
まずはご自身の志向の整理です。活動開始時から変わっていることもありますので、このタイミングで今一度整理し、転職先候補が当てはまっているかを見直してください。
「経営に裁量を持ってコミットする」という役割の観点もあれば、「〇〇の業界を良くする」というように事業領域を挙げる方もいます。逆に、「縦割り感の強い組織ではない方が良い」など、求めていないこともあるでしょう。内容は人によって様々ですが、明確化されている状況で判断をしていただくことが大切です。
・短期的な期待役割や職務内容がクリアになっているか
企業やその経営層が入社後あなたに何を求めているか、役割や職務はクリアになっているでしょうか。
上記が整理され、かつ先方とも合意形成できていれば、入社後のシミュレーションもでき、新天地での良いスタートに繋がります。
面談の中でしっかりと詰めておくべきことですが、仮にはっきりしていない場合であれば、再度確認するプロセスを踏むべきです。対話をしてもクリアにならない場合、何を任せ、何を実現いただきたいかが先方の中でもはっきりしていないのかもしれません。そのような状況では短期的な成果の創出がなかなか難しい場合もあるので、選択肢から外すことも一つの選択です。
・中長期的に会社・事業が成長していくイメージが湧くか
これは単純に伸びている産業を選んで欲しいということではありません。
「成長」の在り方は様々で、一般的に斜陽産業と言われる業界であっても、独自の強みを持っていたり、時代の変化に合わせた付加価値を作り成長している企業もあります。
現在の外部環境だけでなく、これからの変化に対応していく風土がある会社か(これまでそうしてきた実績があるか)などを踏まえ、中長期的に成長する会社を選んでいただくのが良いでしょう。
・この社長を担ぎたいと思えているか
段階的に整理いただくための軸を前述しましたが、とはいえ最後は社長との相性が大切です。
私がお話しした中で、新規事業展開の方針について大きく乖離があることが入社後にわかったという方がいらっしゃいました。その方は、会社の売上は伸びているが納得感を持って職務を遂行できておらず、社長との相性が大事だと痛感したという事例です。
幹部層の皆さんは多くの場合、社長と近い立場で働くことになります。その社長の事業や組織に対する考え方に共感できるかは、幹部として重責を担い続ける上では非常に重要です。また人間的にも一緒にやりたい、この人を担ぎたいと思えるか、面接のときの社長の雰囲気や話の内容を思い起こして判断していただければと思います。
その上で「自己決定感があること」が大切
これまで判断軸についてお話してきましたが、結局のところ、何を優先するかは人それぞれです。ただ、どういった軸で決めるにせよ、自己決定感の強い選択(内発的な動機を元に、自分自身が心から良いと納得できる決断)をして欲しいと願っています。
事前にどれだけすり合わせをしても、入社後は想定外の事態が生まれるものです。
そのような中でも自分で決めたという思いが強ければ、モチベーションや興味関心を持ち続け、かつ失敗や困難も糧として受け入れられるようになるのです。
中には最終的に「年収が高い方を」「奥様(もしくは知人)が勧める方を」選ぶ方がいます。上記の軸は大切ですが、一方で外発的なものでもあります。
最終的に、単純にに年収が高いことや誰かの勧めで選ぶことは、自分なりの重要な判断軸を見つけられなかったということの裏返しでもあります。入社後に「自分はこんな仕事がしたかったんだっけ?」と後悔することも繋がりかねません。
もちろん外発的なものを優先しつつも、強い自己決定感を持ってご決断される方もいますので、ご自身をよく見つめ直していただきたいということです。
転職は人生における大きな決断です。広範な情報収集や第三者の意見も大切ですが、最後はご自身が本当にやりたいと思う気持ちを大切に、迷いなく邁進できる場を選んでいただければ幸いです。