TOP 社長を目指す方程式 取引先や部下が思わず本音を話し出す 3つの質問と3つのリアクション

2022/04/12

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社長を目指す方程式

第88回

取引先や部下が思わず本音を話し出す 3つの質問と3つのリアクション

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今回の社長を目指す法則・方程式:

渡瀬 謙 氏「本音を引き出す3つの質問」

 
マネジメントとして成功するには、相手の抱えている要望や悩みを正しく把握し提案・対応を行うことが欠かせません。そのためには、相手が取引先であれ部下であれ、「本音を聞き出して的確なコミュニケーションをとる」ということが求められます。今これを読んでいる上司の皆さんも、そうした意識はお持ちのことと思います。
では、一体どうすれば本音を聞き出すことができるのでしょう? 今回は、取引先や部下が思わず本音を話してしまう「3つの質問」をご紹介しましょう。

 

本音を聞き出す「過去」→「現在」→「未来」の質問

そもそも、人が本音を言わないのは、主に以下の3つのパターンが考えられます。問題は、これをどう突破するかということです。

 

1)売り込まれたくないとき
2)相手を警戒している・好きでないとき
3)自分が話をしたくないとき

 

営業マン教育を行う渡瀬謙さん(ピクトワークス代表取締役)は、著書『本音を引き出す「3つの質問」』(日経ビジネス人文庫)で、本音を引き出すためには「過去」→「現在」→「未来」の順に質問をすればよいと紹介しています。

 

私たちは、相手のニーズを聞くときには「未来の質問」をします。「未来の質問」とは、「何が欲しい?」「これからどうしたい?」「将来どうなりたい?」というようなものです。ストレートな質問ですが、人はこれをいきなり聞かれても答えにくいことが多いのです。部下にいきなり、「次は、どんな仕事を担当したい?」と聞いても、「え、ええっ…と、そうですね、、僕は何をすればよいでしょうか」と戸惑うことが少なくないでしょう。

 

そもそもは、先の通りの本音を言わない状況で、あなたに話そうという気にならないということもあります。「ここで何をやりたいと言って、課長は自分をどう評価するんだろう」「いきなり聞くなんて、何かの前振りだろうか。もしかして転勤とか?」など、無用な勘ぐりをされてしまうこともあるでしょう。
また、いきなり「未来(どうしたい)」を聞いても<表ニーズ(表面的なニーズ)>しか出てこないことが多く、<裏ニーズ(本音ニーズ)>は本人も気づいていないことも少なくありません。次は、どんな仕事を担当したい? に対して、取り急ぎ現状の延長線上で「更に今の業務を極めます」など、本人もパッとイメージできる無難な回答を他意なくするものです。

 

この状況を覆し、本人の本音を聞き出すには、まず過去から現在までを聞きます。すると根っこのニーズを自然と聞き出せ、そこから展開すれば本音の未来が聞き出せるのです。これは、例えば次のような会話の流れが考えられます。

 

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上司「前の部署では何を担当していたのだっけ?」
部下「下町エリアの中小企業担当の営業でした」
上司「そうか、そこから自己申告で営業企画に来たんだったね」
部下「はい、希望が叶って嬉しかったです」
上司「現場をよく理解した上で販促の企画を立ててくれているから、営業部の評判もとても良いし、新商品の販売も順調に伸びてるね」
部下「ありがとうございます、顧客のニーズをイメージしながら、どう商品特性を伝えればよいか、工夫するようにしています」
上司「いいね、次は、どんな仕事を担当したい?」
部下「そうですね、いまの仕事をやってみて、マーケティングについてもっと深く理解してプランを立てられると、より成果を出せるのではないかと感じています。なので、可能であれば一度、マーケティングを担当してみたいです」
===

 

自然な流れで部下の今後やりたい仕事についての本音を聞くことができました。こうすることで、上司のあなたも過去・現在を聞いた上での部下の未来の希望について、腑に落ちて理解できたと思います。

 

質問には「リアクション」「意図」「気持ち」をプラスせよ

質問することは、相手への興味関心をあらわします。質問すること自体に本音を聞き出すトリガーがあるのですが、渡瀬さんは<尋問型の質問>は三流、<リアクション付きの質問>が一流だと言います。

 

尋問型の質問とは、次のようないわゆる「一問一答型」の聞き方ですね。

 

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Aさん「以前はどんなお仕事をされていたんですか?」
Bさん「輸出関連で海外に長らく赴任していました」
Aさん「その前は何をされていたのですか?」
Bさん「国内の業務用食材のルートセールスです」
Aさん「学生時代は何を選考されていたんですか?」
Bさん「米国文学選考です」
===

 

無機質ですよね。下手なインタビューもこうした尋問型になっていることが多いです。聞いていて(読んでいて)、いまひとつ盛り上がりません。

 

対して、リアクション付きの質問とは、「相手の話にリアクションしながら深掘りしていく」ことを含んだ聞き方です。

 

===
Aさん「以前はどんなお仕事をされていたんですか?」
Bさん「輸出関連で海外に長らく赴任していました」
Aさん「おお、そうなのですね。ちなみにどちらの国ですか?」
Bさん「インドです」
Aさん「いいですねー!私は行ったことないのですが、カレーが大好物なので羨ましいです」
Bさん「あはは、そんなに毎日カレーばかり食べませんよ」
Aさん「あ、やはり、そうでしたか(笑)」
Bさん「でもバリエーションが多く、辛いのが多いですね。僕は日本の家カレーのほうが好きですけど(笑)」
===

 

あまり脱線しすぎてもいけませんが、リアクション&深掘りで相手の好みや意外な事実、そしてふとした本音を知ることができます。

 

この<リアクション付きの質問>について、更に効果的に会話を展開するには、<意図+質問>をして、<気持ち+質問>で盛り上げるのがよいそうです。

 

<意図+質問>とは、なぜその質問をするのかの理由を添えること。
「御社の創業はいつでしたか?」ではなく、「社長の原体験があって御社を創業されたのですよね? その創業はいつでしたか?」と聞けば、社長は創業に至った背景や起業に至る決断、創業時のご苦労なども喜んで話してくれるでしょう。

 

<気持ち+質問>とは、話を感想で受けて更に質問で深堀るという会話の流れです。
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Aさん「いやー、何としてもこの商品が必要だと思って起業したけど、最初は誰も真に受けてくれなくて大変だったよ」
Bさん「そうだったのですか、ご苦労されたんですね。それが現在にまでなるなんて、本当に凄いです。ターニングポイントはどのようなことだったのですか?」
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社長はあなたが自分や自社に強く興味を持ってくれていることを感じ、好印象を抱くでしょう。この後の商談もスムーズに進むこと、間違いありません!

 

*         *         *


 

取引先であれ、部下であれ、人は本音を共有できる相手を求めています。相手に「答えがいのある質問」をして本音を引き出しましょう。これで本音を知ることができるばかりか、相手は本音を引き出してくれたあなたに信頼感を抱いてくれるというお土産までついてきます。
今回はテクニック的にご紹介しましたが、大事なことは相手に素直な興味関心を寄せた上で、3つの質問をすることです。そうすれば、あなたは必ずお客様や部下たちの本音を聞き出し、信頼を獲得できるのです。  

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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