2019/09/03
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社長を目指す方程式
第21回
大坂なおみを世界1位にしたコーチから学ぶ スター社員の育て方
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
◆トップクラスの勝利を手に入れるメンタリティ
成功への道は、野望の階段でもある。サーシャはそう言います。
あるときサーシャは大坂なおみに聞きました。「女子トーナメントの参加者の中で、絶対にグランドスラムを獲るという自信を持っているプレーヤーは、何人くらいいると思う?トップテンの連中なんか、口ではみんな自分が勝つと公言するんだけど、本気でそう信じている連中って、どれくらいいるかな?」
実際のところ、128名のトーナメント参加者中、心から自分の勝利を信じている者は数える程しかいないとサーシャは言います。
4大大会に出てくるような選手たちであっても、大抵のプレーヤーは準々決勝、準決勝に辿り着けただけで満足。「このグランドスラムは私のもの」と必勝を期しているプレーヤーはごく少ない、燃えるような野心、成功への渇望に胸を疼かせている者は本当に少ないのだと。
これもまた、私たちビジネスの世界でも全く一緒ではないでしょうか。
そこそこの仕事で良いと思っているのか、大きなビジネスを成し遂げたいと思っているのか。何か業界を揺るがすインパクトを与えたい、ナンバーワンの事業や会社を創りたいという野心を抱いているのか。
私はよく「当たり前の基準をあげよ」という話をするのですが、自分の中の基準値がそもそも低い人は並以下の仕事しかしませんし小さな結果しか出ません。抱いた目標以上のことを成し遂げるということは、基本的にあり得ないと、これまで様々な企業、事業、経営者を多く観てきて(もちろん自分事としても)そう痛感しています。
「野心を抱いてこそ、成功はあなたのものになる。まず目標を設定し、その目標は必ず達成できると信じる。もちろん、計画を立てることは必要だろう。だが、必ず達成するという決意がなければ、手順も決められない。(中略)ある壮大な野心を抱いたら、一気に山頂を目指すのではなく、毎日小さな目標をこなして、それを積み重ねていくほうが現実的だ。(中略)テニスに限らない。企業の経営者であろうと、成績をあげたい学生であろうと、辛いのは毎日の日課をこなすことではないだろうか。その場合、小さな目標を丹念にこなすことを心がければ、大目標の達成に結びつく。一日一日、こなすべき目標を明確に頭に刻む。そして、一日の終わりに、今日なしとげたことに満足できるかどうか、自問する。」(『心を強くする』)
サーシャがトップクラスの勝利を手に入れるメンタルとして、他に挙げていることを列挙しますと、
「ボディランゲージで自分の脳を騙せ」「失敗の味を味わっておくと本番で楽になる」「プレッシャーを感じたら、絶好調」「迷ったら絶対に自分ファーストでいい」「メンタルの成長を妨げる、依存性の罠に注意」「極限のストレスを消す初心」「自信は移ろいやすい。だから一瞬で最高レベルにもあげられる」「一度夢に描いたら、私は絶対に負けない。想像力を使って、あらゆる場面を解決済みにしておく」「ありとあらゆる小さな勝利を、人生最後の勝利だと思って喜ぶ」「二番目に甘んじるのは、自分を大切にしない人」
などで、大きな目標、野心を持ち、その上では逆に日々の継続的、習慣的な地道な取り組みの積み重ね、絶対に最終的にトップに立つのだという粘りこそがトップクラスの勝利への道。ショートカットなどない、と私たちに伝えてくれています。