2019/09/03
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社長を目指す方程式
第21回
大坂なおみを世界1位にしたコーチから学ぶ スター社員の育て方
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
まず本書の冒頭で紹介されるのが、
「この世には自分の力では左右できないことがあるという事実を認める」
ことが、強いメンタルを手に入れるために最も大事だという話。
いきなり、ガツン!と衝撃を受けました。「まさに!」。
私たちは日頃、いかに自分では直接どうしようもないことについてあれやこれやと悩み、不満を持ち、なんとかしたいと思い込んでいることか。
サーシャは、テニスのコーチをしていて一番辛いのは、観客席で試合を観なければならないことで、ただ座っているだけで、担当選手に対して試合中、なんの手も足も出ないのがなんともやりきれないと言っています。
これは経営者が社員たちに対して、あるいはマネジメント専任となった上司が部下たちに対して感じることと非常に近しい感覚だと思います。
またテニスの試合にも、私たちのビジネスにも、相手(敵、競合)がいます。「どんな手で出てくるのだろう、どう対応しよう」あれやこれやと相手の出方を想像しては気を揉み続け、夜も寝付けない。
戦略戦術を考えることは大事ですが、相手がどう考えどう行動に移そうとしているのか、そのこと自体をコントロールしたいと考えてしまうようなことはそもそもできないことで無駄なこと。
「自分の力で左右できることには限りがある。他者の出方、能力について思い悩むのは時間の無駄。その事実を受け容れてしまえば、その場の感情に流されることもなく、集中力が途切れることもない。」(『心を強くする』)
「すべてが願い通りには進まない」と最初に諦めておくことで、平常心が保て、自分はただ自分がコントロール可能なことだけを考え行動すれば良いのです。
サーシャが強いメンタルを手に入れるために、他に挙げていることを列挙しますと、
「フォーカス×集中力」「完全主義を捨てる勇気」「自分のための100%の努力」「ルーティンの役割」「ゲンを担ぐ」「日頃からあえて面倒な方を選ぶ」「ごめんなさいをNGワードに」「疑問をもち、質問できる人ほど強い」「肉体を鍛えてしまえば、自ずとメンタルも強くなる」「のんびり、辛抱」「良い嫉妬、悪い嫉妬」
など。いかなるときも揺るがない、前向きで、ある面攻撃的な気持ちを保つ状態のコントロールを選手に与えることをしていたのだということが分かりますね。