TOP なぜ、優れたビジョンを持つ企業は成長し続けるのか 今、日本からもっとも失われているのは「ビジョン」である。(1/4)

2019/06/18

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第1回

今、日本からもっとも失われているのは「ビジョン」である。(1/4)

  • 経営者インタビュー
  • スペシャル対談
  • 株式会社ディープビジョン研究所 代表取締役 ブランド戦略コンサルタント 江上 隆夫氏
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

「経営者を語る」――。今回は、ブランド戦略コンサルタントでありクリエイティブディレクターでもある、江上隆夫氏(株式会社ディープビジョン研究所代表取締役)をゲストにお迎えします。

 

今回は、「最高のビジョンづくりと経営者」をテーマに、経営者JP代表・井上和幸と語り合っていただきました。全4回でお届けします。

 

 

江上さんは広告代理店でコピーライターおよびクリエイティブディレクターとして活躍したのち、ブランド戦略コンサルタントとして独立。著書には、最新刊の『THE VISION あの企業が世界で急成長を遂げる理由』(朝日新聞出版)のほか、『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』(SB クリエイティブ)などがあります。今回の対談では、「最高のビジョンづくりと経営者」をテーマに弊社代表取締役社長・CEO 井上和幸と語り合っていただきました。全4回でお届けします。

井上 最新刊『THE VISION あの企業が世界で急成長を遂げる理由』(朝日新聞出版)を興味深く拝読しました。江上さんがこのテーマで本を書こうと思われたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?

 

江上 一冊目の本『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』(SBクリエイティブ)を出した後に、朝日新聞出版の編集長と編集者から、執筆依頼のお手紙をいただいたんです。最初は全く違うテーマの企画だったのですが、いろいろやり取りをする中で、「ビジョン」が面白いのではないかと。

 

私は、広告代理店時代を含めてクリエイターをもう30年ほどやっています。そこでは、どんな仕事も「コンセプト」と「ポジショニング」が非常に重要であり、それを見つけてスタートしていくことは私たちにとって当たり前の作業でした。しかし、独立してから、ある場所でブランディングについて教えたところ、講座参加者の大半が、理念的なもの、抽象度の高いものをつくるところで躓くことに気づいたんです。他のことはできるのに、その部分ができない。そこで、そういった部分をある程度ひも解いて、誰でもつくれるようにしよう――というのが、1冊目と3冊目の本を書いた目的の半分です。

 

井上 なるほど、もう半分の目的は何でしょう?

 

江上 「日本人はこれほど優秀なのに、なぜこんなところで立ち止まっているのか?」という私自身の腹立たしさです(笑)。イライラして仕方がないので、そうした情念を本の中にぶつけました(笑)。

 

井上 その思いが切々と綴られているのは、読んでいてわかりました(笑)。ご著書では、「今、日本からもっとも失われているのは「ビジョン」ではないか」「ビジョンがないということは、地図を持たない登山であり、GPSのない航海」であり、どこを目指しているのかわかっていない「ロシアンルーレットのような危険な賭け」だと指摘されていましたね

 

偉そうなことを言うつもりはないのですが、私も江上さんとは違う立ち位置から全く同じことを感じています。

 

ビジョンについて言えば、社名は出しませんが、日本の大手企業の掲げるものは概ね問題がありますよね。例えば、他社に会社名を変えても、全く通じてしまうようなビジョンが多い。大手の場合、あちこちに忖度した結果、「足して10で割る」みたいなことをやっているから、「何のことを言っているのでしたっけ?」みたいな感じになるのでしょうが……。

 

江上 大手の場合、全てを入れ込もうとするので、結果として茫洋としたものになってしまうので、仕方のないところもあります。ただ、そこはもっときちんと取り組むべきだと思いますね。幕の内弁当ではありませんが、ビジョンというのは「全部良い」ものにはできません。「何を取り、何を捨てるか」という話になるのです。そのチョイスは創業社長ならばできますが、今の大企業ではできなくなっているのでしょう。そうしたことは、ひしひしと感じますね。

 

 

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プロフィール

  • 江上 隆夫氏

    株式会社ディープビジョン研究所 代表取締役 ブランド戦略コンサルタント

    「本質からブランドを組み立てる」というアプローチで、全国の中小企業から大企業までのブランドづくりを支援するブランド戦略コンサルタント。 大学卒業後、コピーライターとして数社を経験した後、広告代理店アサツー・ディ・ケイ(旧旭通信社)入社。 コピーライター、クリエイティブ・ディレクターとして18年近く、大手企業の広告制作からブランド構築など幅広い分野の仕事に携わる。 これまで担当した企業は、JT、FUJIゼロクッス、富士フイルム、NTTコムウェア、バンダイ、ロート製薬、アサヒ飲料、富士通、サントリー、ロクシタン、カルピス健康通販、再春館製薬所、ヤマキなど。 東京コピーライターズクラブ新人賞、朝日広告賞、日経広告賞グランプリ、日経金融広告賞最高賞、IBAファイナリストなどを受賞し、クリエイターとして高い評価を得て、独立。 数多くの広告キャンペーンづくりのほか、大手、中小を問わずブランド構築、事業商品開発、市場戦略づくりなどを手掛けるほか、ブランディングやビジネスに必要な考え方やスキルを伝えていくセミナーや塾も展開中。 日本とアジアに、次の時代を担う先進的なブランドを1,000以上つくることを目標に日々活動している。 企業内研修や一般および専門家向けの講演・セミナーも多数行い、ブランドづくりの啓蒙にも努めている。 著書に、『THE VISION あの企業が世界で成長を遂げる理由』(朝日新聞出版)、ロングセラー『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか』ほか『降りてくる思考法』(共にSBクリエイティブ)がある。

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    早稲田大学卒業後、リクルート入社。コンサルティング会社取締役、リクルートエグゼクティブエージェントマネージングディレクター等を歴任。2010年経営者JPを設立し、現職。

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