2019/05/23
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異能の経営者 ~ I know. ~
第21回
【広津崇亮氏】皆とは逆だったとしても、 正しいと思う方向へ進む。(Vol.1)
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- 広津 崇亮氏 株式会社HIROTSUバイオサイエンス 代表取締役 CEO 博士(理学)
――線虫のことを意識したことはなかったですね。
意識しませんよね、普通は。人間と関わりがあるものはどちらかというと、人間に寄生して悪さをするやつがよく知られています。回虫とか。昔、「ぎょう虫検査」ってありましたよね? あれも線虫ですよ。
――ああ、ぎょう虫検査って小学校のときに検査でありましたよね。
やりましたよね。昔の日本人はみんな持っていたんですよね、子どもでも。
――確かに、クラスに一人ぐらい検査に引っかかっていた気がします。
今は世の中の環境が綺麗になりすぎているから、ぎょう虫が全然いないらしいですよ。だから検査はなくなっているのではないかと。
――なるほど。
それで、そういった線虫の中でも私たちが使うのはC. elegans(シーエレガンス)という種類です。この種類はそもそも土の中にいるやつなので、寄生しません。
――土の中にいるんですね。
はい。ただ私たちが土から捕ってくるわけではありません。1960年代に「研究用に使える」と言って捕ってきた偉い人がイギリスにいて、そのあとはずっと研究室で培養しているのです。基本的には研究室の中でずっと培養するものになっています。
――それが「C. elegans」という線虫なんですね。
一般的にはなじみがないと思うのですが、業界では結構有名な生物です。『モデル生物』と言われています。
――『モデル生物』?
研究用によく使う生物のことを言います。ある部分を切り取ると人間と同じメカニズムなので、人間を研究できない代わりに研究に使うというものですね。
――ああ、マウスとかはよく聞きますよね。
そうですね。モデル生物でよく使う順でいくと大腸菌・酵母・線虫・ハエ・マウスという順です。ですから、生物を研究している人は『線虫』というと「ああ、あれね」という感じです。
――へえ、全然知らなかったです。
前から研究によく使われていた生物なので、このC. elegansを使った研究でのノーベル賞科学者が6人もいます。
――これを使ってノーベル賞をとった方が6人も?!
先ほど、1960年代にイギリスの研究者が土から捕ってきたと言いましたが、その方はC. elegansを見つけたことで評価され、ノーベル賞を受賞したんですよ。人類にとってそれぐらい線虫が役に立ったということです。
【第1回 異能ポイント】 | |
◎皆が行くからといって行かない。 ただ自分が興味を持った方へと進む。 |