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2019/04/08

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スペシャルコラムドラッカー再論

第166回

ドラッカーが手放しで礼賛する「成果中心の組織」=連邦分権組織。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

いわゆる事業部制のことを、ドラッカーは「連邦分権組織」と呼ぶ。
連邦分権組織によって、企業はいくつかの自立した部門に組織される。それらの自立した部門は、それぞれの仕事ぶり、成果、組織全体への貢献に責任を持ち、それぞれがマネジメントを持つ。

 

連邦分権組織の視点は、これまで紹介してきた職能別組織やチーム型組織とは全く異なるところにあるとドラッカーは言う。

 

「職能別組織やチーム型組織は仕事からスタートする、成果は活動の総和であると仮定する。活動さえ正しく組織すれば、正しい成果が自然にもたらされるとする。これに対し連邦分権組織は、「我々はいかなる成果を目指すべきか」からスタートする。何よりも事業の適切さに重点を置く。成果、特に市場において成果をあげうるうえで最適な事業部門をつくる。しかるのちに、「その事業部門の内部にいかなる仕事、課題、活動が必要か」を考える。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

連邦分権組織において常に考えるべきは、「この事業部の事業は何か。何になるか。何でなければならないか」というドラッカーの真骨頂の問いである。
こう考えることで初めて、基幹活動とすべきものが何であり、それらをいかに組織すべきかが明らかになるのだ。

 

「今日のところ、組織設計の仕様に関して、連邦分権組織に勝る組織構造はない。適用できる分野は広い。現業の仕事もイノベーションの仕事も組織することができる。強力なトップマネジメントを可能とする。トップマネジメントが自らの仕事をできるようにする。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

連邦分権組織は、事業部門それぞれの人間が自らや自らの属する部門全体の課題を容易に理解することができ、マネジメントの目と力を直接、事業の成果に向けさせる。利益の上がる事業に隠れて利益の上がらない事業を続けるようなこともなくなる。

 

「ビジョンと感性の共有が行われ、コミュニケーションが容易である。あらゆる職能の間でコミュニケーションが助長される。意思決定も適切なレベルで行われる。的確かつ重要な問題に焦点が合わされる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

最大の利点は明日を担うマネジメントの育成にあると、ドラッカーは説明する。連邦分権組織だけが、次世代のトップマネジメント候補者をテストし育成することができ、この一事だけでも連邦分権組織は他のいかなる組織構造よりも優れている、と。

 

そもそも連邦分権組織は、マネジメントが成果の身近に位置しているため、成果に焦点を合わせやすい。よって自らの仕事ぶりを正しく評価もしやすい。

 

「自己目...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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