TOP 社長を目指す方程式 チームを成功へ導く魔法の数字たち 「7」「30~50」「150」

2019/04/02

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社長を目指す方程式

第10回

チームを成功へ導く魔法の数字たち 「7」「30~50」「150」

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • マネジメント

いわゆる「成長の痛み」と言われるもので、30人を超えるあたりで、それまで阿吽(あうん)の呼吸でやれていたことが通じなくなり、またなぜか誰もが業務に忙しくなり、優先順位や方向づけを見失いがちになり、ただただ目の前の仕事に追われるようになります。

要するに、それまで属人で和気あいあいとやってこられたものが通用しなくなり、しっかりとした業務ルールやコミュニケーションルールを確立する必要が出てくるのです。

一方ではその転換がしっかりできれば、それまでは良くも悪くも個々人の動きや成果によって会社の業績が大きく左右せざるを得ないところから、組織力で戦い成果を出すことができるようになります。会社として組織として、属人リスクを初めて超える人数がおよそ30人です。

こうした組織発展上の段階もあってか、不思議なことに、この30人、50人という人数を超えるところに見えない壁があり、それまで急成長してきたベンチャー企業がなぜか30人の手前、50人の手前でそこからなかなか人数が増えないということがよく起こります。ポイントは先に述べた通り、仕組み化・ルール化ができているか否かです。私の体験的にも、50人を超えると、一方ではコミュニケーション不全などの問題も起きやすくなるのですが、経営的、組織的にはナレッジ(知識)の蓄積がそれまでとは段違いに進みやすくなります。

この壁を突破すれば、次は一気に「150人」まで駆け上がるのみです。

◆「ダンバー数」の「150人」は、人がチームとしてまとまれる最大値

チームの人数というテーマでは、この人をご紹介しない訳にはいきません。それはロビン・ダンバー氏です。

イギリスの人類学者、進化生物学者のロビン・ダンバーは、世界各国古今東西の民族グループを研究する中で、同じ規模の集団が繰り返し登場することに気がつきました。これを「親密さの集まり」と呼び、次のように分類しています。

・3~5人…最も親密な友人関係を築ける人数

・12~15人…誰かが亡くなった時に深く嘆き悲しむ友人や家族の人数

・50人…オーストラリアの先住民族アボリジニやアフリカ南部の狩猟民族サン人が移動する時の平均的な規模に相当

・150人…「ダンバー数」

ダンバーは、チームサイズには上限があり、それは147.8人であるとしています。これは人間の脳が性格や行動を記憶・蓄積できる他者の上限人数です。端数を切り上げた「150人」を、彼の名前にちなんで「ダンバー数」と呼んでいます。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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