TOP 社長を目指す方程式 チームを成功へ導く魔法の数字たち 「7」「30~50」「150」

2019/04/02

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社長を目指す方程式

第10回

チームを成功へ導く魔法の数字たち 「7」「30~50」「150」

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • マネジメント

◆マジカルナンバー7±2。最強チームと最適チーム

では、私たちがチームとして最もまとまりよく、機動力をもって動けるチームの人数は何人なのでしょう?

皆さん、「マジカルナンバー7」を聞いたことがあるのではないでしょうか?アメリカの認知心理学者ジョージ・ミラーが「人が一度聞いただけで直後に再生できる記憶容量」について研究し、それが「7±2」であると発表。1956年に発表した論文『マジカルナンバー7±2』から、こう呼ばれるようになりました。

ちなみにこれは、7つの「チャンク(かたまり)」をさしていますが、その後、2001年に米ミズーリ大学心理学教授のネルソン・コーワンが「4±1」こそが正しいマジカルナンバーだと発表。現在では短期記憶についてはこちらの「4チャンクを中心とした3~5チャンクが限界数」と上書きされています。(確かに、マジカルナンバー7の根拠としてよく電話番号が例示されますが、「03-1234-5678」は、「12345678」が「7±2」、というよりも、「03」「1234」「5678」が3チャンク、その中身が2チャンクと4チャンクだから記憶しやすい、の方が説得力を感じます。)

さてでは、「7」には意味がないかといえば、そんなことはなく、チーム編成理論の「FFS(Five Factors &Stress)理論」によれば、最も生産性の高いチームの人数は6人~9人だという結果が出ています。ちなみに、FFS理論とは、5つの因子(受容性や保全性など)とストレス(ポジティブ、ネガティブ)で数値化し、その人の思考行動を把握する理論です。

短期的に生産性の高いチーム(最強チーム)は同じタイプの6~8人編成で、中長期的に生産性の高いチーム(最適チーム)は異なる補完的なタイプの7~9人編成であることが、FFS理論の開発者である小林惠智博士により1980年代に発表されています。

「スパン・オブ・コントロール(マネジャー1人が直接管理している部下の人数や、業務の領域)」という言葉が経営学にありますが、一人のリーダーが率いるチーム人数としては、チーム生産性の観点からも“同志として目的や夢、想いを共にする”観点からも、まず編成すべき単位は「7人(±2人)のチーム」。まさにあの傑作映画「7人の侍」「荒野の7人」ですね。

◆ベンチャー企業の成長過程で囁かれる「30人の壁」「50人の壁」

「7人(±2人)」で始まったチームも成長し、やがて別の問題に直面します。

私自身、現在の経営者JPを含めて3社ほどのベンチャー組織を経てきました。その成長過程で必ず乗り越えなければならない人数の壁があることを、数社の創業~成長フェーズを繰り返し経験したことで、実感、痛感しています。それは「30人の壁」や「50人の壁」です。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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