2019/03/25
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スペシャルコラムドラッカー再論
第164回
チーム型組織の落とし穴。
- エグゼクティブ
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
チームとは、何か?それは、異なるスキル、知識、背景を持つ人たち、異なる分野に属する人たちが、共通のテーマのために共に働く人の集まりである。ドラッカーは、このように定義している。
「チーム型組織にはリーダーがいる。多くの場合、リーダーは交替しない。しかし実際にチームを指揮する者は、仕事の段階や要求によって変わっていってよい。チームには上司も部下もない。シニアとジュニアがいるだけである。(中略)狩猟型にせよ、製品開発にせよ、個々のチームのミッションは個別かつ具体的である。しかし、チームそのものは恒常的でありうる。チームの構成はミッションによって変わる。個々のメンバーは変わり、同時に幾つかのチームに属することもある。しかし、チームそのものはかなり安定的でありうる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
チーム型組織の特徴について、ドラッカーは上記のように述べている。タスクフォース、プロジェクト・チーム、自由型組織、スモールグループ、オーケストラ型組織、そして最近流行りのティール型組織。
プロジェクト毎、タスク毎に編成されるチームのフレキシビリティ、臨機応変さに経営者としては目がいかざるを得ない。しかしドラッカーは、こう指摘もする。
「チーム型組織の特徴は自由さでも気ままさでもない。(中略)チーム型組織の特徴は、ミッションは不変だが具体的な仕事は変化するところにある。もし永続的なミッションがないというのであれば、臨時のタスクフォースを編成するだけのことである。その場合は、チーム型組織は不要となる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
チーム型組織には、明確な目標がなければならない。チーム全体およびメンバー一人ひとりについて目標と現実のフィードバックが行われなければならない。
「チーム型組織は、多数決で物事を決めるという意味での民主制ではない。権限は重視する。しかしそれは、仕事すなわちなされるべきことに発し、なされるべきことに焦点を合わされたものでなければならない。仕事に責任をもつのは常にチームである。メンバーはそれぞれの能力と知識によって貢献する。しかし、彼らは自らの仕事ではなくチーム全体の成果に責任をもつ。チームが責任の主体である。チームとして仕事をしていくうえでは、メンバーは互いに知り合いである必要はない。しかし、互いの役割と貢献については知らなければならない。親しさ、共感、付き合いは必要ない。しかし、互いの仕事についての知識と、共通の課題への理解は不可欠である。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
ドラッカーが、我々がイメージするところの「プロ型」チームを想定していることが理解できる...
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