2019/02/05
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社長を目指す方程式
第6回
キャリアアップも部下育成も、研修を凌ぐ最強の方法とは?!
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
◆物事には順番がある。
「採用+場、経験」と言いました。では、研修は必要ないのかと言えば、そんなことはありません。先の通り、研修1割、薫陶2割、必要な訳です。
私は、比率もですが、順番が非常に大事だと考えます。
まず、現場で実地の業務経験をする。そこで出てきた課題や悩みについて、ロールモデルとなる先輩に聞いたりやり方を真似してみたり上司に相談したり教えてもらったりする。更に業務習熟するために、あるいは業務体系を教えてもらったり整理したりするために研修プログラムに参加する。このサイクルをしっかり回し続けることが大事なのです。
組織行動学者のデービッド・コルブが提唱した「経験学習モデル」というものがあります。
「具体的経験をする」→「その経験について、内省的観察をする」→「内省によって導きだした教訓を抽象的概念や持論として昇華し一般化を試みる(抽象的概念化)」→「新たな状況でその抽象的概念や持論を積極的に試行する」
この4段階のサイクルをどんどん回し続けていく。そのことで経験から学び成長することができるのです。そのプロセス上、「内省的観察」のフェーズから「抽象的概念化」のフェーズにおいて、自分ひとりで考え尽くすことには限界もありますから、「薫陶」と「研修」の力を積極的に借りるのは得策と言えるでしょう。いや、そうというよりも、この段階で「薫陶」と「研修」(研修、には読書などの自己学習も含まれます)を徹底的に受ける人、やれる人こそが、一皮むけて成長する人です。
一方で、現場体験に紐付かない学び(研修)は、無駄とは言いませんが、自己啓発以上の何かをあなたのキャリアに刻み込んでくれるものではないこともまた、この一連のプロセスからお判りいただけるのではないかと思います。
さて、あなたは「良い業務体験」をできる場を獲得しているでしょうか。あるいは上司や経営者であるあなたは、部下たちに「良い業務体験」させる場を与えているでしょうか。「良い業務体験」とは、それまでとは違う業務体験、それまでよりも負荷のかかる体験、そして修羅場体験を指します。
まず何よりも7割の実地体験(「良い業務体験」)をしており、そこに2割のアドバイスと1割のオフサイト学習を(会社で、個人で)アドオンしている人。社長に向かって成長し続けることのできる人は、世代を超えてこの、経験の場に飛び込み「実地学習」を繰り返し、そこでの気づきや悩みについて徹底的に学び解決することにチャレンジしている人なのです。
※この記事は、「SankeiBiz『井上和幸 社長を目指す方程式』」の連載から転載したものです。
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