2018/12/18
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社長を目指す方程式
第3回
社長とは、聖人君子か、暴君か? リーダーシップの4つのスタイル
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
こう紹介してきますと、「いま、取るべきリーダーシップスタイルは、あらゆる場面で3.0(4.0)なのだ」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。会社の創業期、新規事業の創出期、あるいは事業の大きな変革期や再生期においては、経営や事業の舵をダイナミックに切る/切り直す、大鉈を振るうべきときというものは、折々発生します。その際に必要なリーダーは「3.0」ではありません、「2.0」型のカリスマリーダー、我が社が行くべき道筋を明確に大胆に指し示し、全従業員をグイグイ引っ張っていくリーダーです。
日産においてゴーン氏は19年に渡る長期政権となっていました。当初ゴーン氏の「2.0」スタイルは素晴らしく効果的でした。「たられば」話になってしまいますが、日産のリバイバルプランが成功したのだとすれば、その後、再生を果たしたのちにゴーン氏もしくは後継者が「3.0」型リーダーシップで日産を自律型リーダー集団へと導くべきだったのではないでしょうか。次のフェーズへと移行すべき期間が十分にありながら、それができずにゴーン氏が経営や役員報酬の最終決定権をおそらく一人で握り続けるような「2.0」延命状況が、今回のような事象を招いたとも言えるのではないか。そんな風に思えてなりません。
◆全ての人がリーダーである時代へ
さて、さらに私たちは、その先の予兆も感じています。「リーダーシップ4.0(R)」です。
「リーダーシップ4.0(R)」の定義は、今後、明確化していくことになると思いますが、現時点で解説するならば、“自己実現”のようなものが軸となるリーダーシップ、となるでしょうか。
マーケティングの父、フィリップ・コトラーは「マーケティング4.0(自己実現)」と言っており、組織論の大家であるピーター・センゲも「ラーニング・オーガニゼ-ション(学習する組織)」を極めていく中で、数年前に出版した著書『持続可能な未来へ』の中では、古から学び、過去と未来の架け橋となり、両方を受け止めながらリーダーシップを発揮すること、とかなり精神性の話になって来ています。
「リーダーシップ4.0(R)」とは、全ての人がリーダーである、とも言い換えられます。
自分自身に対してリーダーシップを発揮しないと、「今、この環境の中で、ただ言われたことだけをやるんですか?」という話になります。自分のやりたいことに対して、自分が能動的に関わっていく-。「WHAT(テーマ)」を設定して、それに向かってやっていく。
そもそも組織としても言われたことしかやらない集団というのは、もはや機能しなくなっています。一人ひとりがリーダーシップを発揮することを、一人ひとりが意識しないといけない時代になっています。
これが「リーダーシップ4.0(R)」です。