2018/12/18
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社長を目指す方程式
第3回
社長とは、聖人君子か、暴君か? リーダーシップの4つのスタイル
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
で、そこから1990年代になると、グローバル化も進み競争が激化する中で、「そんな生ぬるいことを言っていたら潰れてしまう」とばかりに、それまでのリーダーシップを否定するリーダースタイルが出てきました。「リーダーシップ2.0(変革者型)」です。
これは組織の方向性を大胆に提示して、部門間の再編・競争・交流を促すことで組織を変革していくタイプのリーダーシップを指します。いわゆるカリスマ型リーダーですね。ジャック・ウェルチ(GEの元CEO)やルイス・ガースナー(IBMの元CCEO)など、個性が際立って見えるタイプのトップがグイグイと自社を率いていくスタイルが望ましく見えました。
まさに、苦境に喘ぐ日産の救世主として1990年代末に颯爽と登場したゴーン氏もまた、「リーダーシップ2.0(変革者型)」タイプのリーダーでした。
◆組織や個人の主体性、自律性を引き出せるリーダーが求められている
そして21世紀~現在です。
クビキリ文化のイメージが強いアメリカなどでも、ここのところ、「やっぱりレイオフをするにしてもレイオフのされ方の問題があるだろう」「ちゃんと情報共有して、社員全体の信頼関係をつくろう」「社内顧客として社員を扱おう」といった風潮が非常に強くなっています。
1990年代になって変革者タイプの「リーダーシップ2.0」が登場した。しかし、変革や結果に対する過剰な圧力などによって、組織はギスギスし、メンタル不調も増えた。そこで、また昔のようなコミュニティのあり方が注目されています。
グーグルの研究などを見ると非常に興味深いのが、彼らがあれほどの最先端テクノロジーを持った会社で徹底的に大量の人員とお金を投下して、「いったい、一番生産性が高いやり方はなにか」を解き明かしてみたら、何と、日本企業が昔やっていたようなことが一番良い、というような結論に至っています。
そのような状況を含めて、今、日本においても、世界においても望ましいリーダーシップスタイルとなっているのが、「リーダーシップ3.0(R)」です。
これは、リーダーが組織全体に働きかけ、ミッションやビジョンを共有し、コミュニティ意識を涵養する。と同時に個人個人とも向き合い、オープンにコミュニケーションを取り、働きかけて、組織や個人の主体性、自律性を引き出すスタイルと定義付けています。
一般的には「サーバント・リーダーシップ」などと言われているものと、ほぼ同義です。