TOP スペシャルコラムドラッカー再論 企業組織内における「情報活動」と「良識活動」。

2018/12/25

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スペシャルコラムドラッカー再論

第153回

企業組織内における「情報活動」と「良識活動」。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

 

前回、企業の組織内活動は、その貢献の種類によって大きく四つに分類できること(成果活動/インプット活動/家事活動/トップ活動)、その中で、成果活動には3つの活動があり(直接成果活動/成果貢献活動/情報活動)、インプット活動にも3つの活動がある(良識活動/助言活動/関係活動)ということをご紹介した(※VOL.152)。
今回と次回、これらの中で特に留意したい活動について解説してみたい。

 

まずは、「情報活動」について。
ドラッカーは情報活動について、組織上の特殊な事情があると言う。情報活動とは、特定のプロセスではなく全体のプロセスに関わるものであり、ということから情報活動は集権化していると同時に分権化していなければならないことを意味する、と。

 

「情報活動には本拠が二つある。組織図では二本の線で示される。一本は各部局の長と呼ばれる実線であり、もう一本は本社と結ばれる点線である。ということは、情報活動は他の仕事とは別に組織しなければならないということである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

例えば、経理情報を資金のマネジメントとだけ見ると本質を見誤り、企業組織活動に望ましい情報活動とならない。

 

「経理が扱っているものは金ではない。数字である。その結果、等閑視されたものが財務だった。資金のコストが安い頃、あるいは安いと扱われていた頃には許されることだったかもしれない。だが、もはやそのような弁解は通用しない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

『マネジメント』が著された当時は金利は上昇局面にあり、現在の超金融緩和・低金利時代とは異なる局面にあったので、上記の表現は今の我々の経営には必ずしもそぐわない。
しかし、経理情報を社内のお金の流れとだけ管理取扱いするのではなく、事業情報、財務情報、キャッシュフロー情報とそれぞれ多面的に追う必要性、重要性を疑う経営者はいないだろう。

 

「情報活動における最大の問題は、それらのいずれを一緒にし、いずれを別にするかである。(中略)それらのものは、はたして統合すべきものであろうか。それとも、それぞれ分離したままにしておくべきものであろうか。いまのところ明確な答えはない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

経理財務と経営企画を統合している企業もあれば、分離している企業も多い。経理と財務、あるいは情報システムを、統合組織とするべきか、分離すべきか。
唯一絶対の解はない。
結局のところ、その企業個々の状況や戦略優先順位、あるいは人的リソースの観点などから、ここに「自社の最適解」を見つけ出すしかないということだろう。

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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