2018/05/14
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スペシャルコラムドラッカー再論
第121回
キャンペーン型マネジメントは、最も避けるべき悪習である?!
- エグゼクティブ
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
僕自身もリクルート時代から現社に至るまで、折々に各種の”キャンペーン”を張ってきた。
ドラッカーは、あらゆる活動がバランスよく行われるためには、あらゆる分野、あらゆる階層のあらゆるマネジメントの目標が、短期的視点と共に長期的視点から規定される必要がある、と語る。
その観点から、ドラッカーは、いわゆる「キャンペーン」型のマネジメントを全否定している。
「最近よく見られるキャンペーン型マネジメントなどは、最も避けるべき悪習である。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
<悪習>とまで言うか、という感じだが…。
ドラッカーは、キャンペーンが終わって三週間もすれば、元の木阿弥であることは誰もが知っている、と言う。
ううむ、、確かに、そんなキャンペーンが少なくないのも確かな気がする。
「在庫減らしの四週間が終わると、コスト削減の四週間が続く。その後は顧客サービスの四週間である。その頃には在庫はもとに戻っている。肝心の仕事はずっとお留守である。トップが考えること、言うことは在庫のことばかり、あるいはクレームのことばかり。ほかのことは何も知りたくないといわんばかりである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
キャンペーン型マネジメントは効果がないだけでなく、人を間違った方向へと導く。一つの側面だけを強調し、他の側面を犠牲にする。そうドラッカーが言うが、やり方を間違えれば、確かにそんなことになりかねないのは、読者経営者の皆さんも胸に覚えがあるだろう。
キャンペーン型マネジメントが安易に横行している組織では、本来の仕事をせずにキャンペーンに「かまける」か、あるいはキャンペーンをさぼって本来の仕事をするか、いずれかしかない。
ドラッカーがここで力説しているのは、「オオカミが来た、オオカミが来た」型のキャンペーンのことだろう。これでは、本当に、すべてをなげうってキャンペーンテーマに集中・最注力すべきときに、「ああ、社長が、上司が、また言っているよ。また始まったよ」ということになる。
「キャンペーン型マネジメントは、マネジメント不在の証しである。無能の証しである。マネジメントが、考えることを放棄している証しである。何よりも、部下たちに期待すべきことが何かを知らず、したがって彼らを方向づけする方法を知らず、彼らの方向づけを誤っていることの証しである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
僕自身は、このドラッカーの論を受けても、決して、キャンペーン型マネジメントがすべて悪癖だとは思わない。
しかし、「通常の」マネジメントがしっかりと戦略組み立てられ、実行されていて、その上で、<ここぞ>というところでの効果的なキャンペーンを設定・実施できているかということについては、改めてしっかり確認していきたいとも思った。
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