TOP スペシャルコラムドラッカー再論 グーグルは、ドラッカーの教えを経営・組織に取り入れ、いまの地位を獲得した。

2016/09/26

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スペシャルコラムドラッカー再論

第44回

グーグルは、ドラッカーの教えを経営・組織に取り入れ、いまの地位を獲得した。

  • マネジメント
古今東西に多く存在し、経営者として光を放つドラッカリアンが存在する。

グーグルのエリック・シュミット(元会長兼CEO)は2005年に、「ニューズウィーク」誌でグーグルの10の黄金律を紹介しながら、こう述べた。

「マネジメントの父ピーター・F・ドラッカーほど、知識労働者に詳しい者はいない。何といっても1959年、知識労働者という言葉をつくったのがドラッカーだった。
ドラッカーは、知識労働者は知識労働において成果をあげることを当然とするという。出勤状況などで判断されたくはない。しかもドラッカーは、知識労働者が知識労働の仕事をするうえで邪魔になるものはすべて除去せよという。
加えて、企業が成功するには、最大の競争力要因たる知識労働者を惹きつけることができなければならないという。
実はグーグルが考えていることが、これらのことである」(「ニューズウィーク」2005年12月2日号)

グーグルの働き方、働かせ方については『ワーク・ルールズ!』『How Google Works―私たちの働き方とマネジメント』という名著2冊が刊行されておりそこに詳しい。ぜひお読み頂きたい。リクルートOBの僕が読むと、驚くくらい、リクルートとグーグルの働き方・組織の考え方・採用へのこだわり・活性化策などが同一のものであることを再認識した。
そのグーグルとリクルートの「ワーク・ルールズ」を結びつける源流が、ドラッカーなのである。(この連載でも数回触れているが、リクルート創業者の江副浩正さんもまた、ドラッカリアンだった。)

ちなみにその「グーグルの10の黄金律」とは、

1.採用は委員会方式で行う ー 最低6名以上が面接し、全員の意見を重視し選考
2.社員が必要とするものはすべて提供する ー 仕事の邪魔になるものはすべて除去する
3.人をつめこむ ー チームで行い、メンバーの席は近くに。個室は作らない
4.協力しやすくする ー 近い席+メール共有を多用
5.何でも社内調達する
6.創造力を発揮させる ー 20%ルール。提案箱メーリングリスト
7.コンセンサスを目指す ー 「多数は少数よりも賢い」を基本的な考え方とする
8.曲がったことはしない
9.データを重視する
10.コミュニケーションに万全を期す ー 金曜日午後の全社会

どうだろう? いわゆる一般的な「外資」っぽさとは真逆のものが多いと感じないだろうか?

人を中心に置き、知識労働を最大限に発揮させる組織・企業を構築しようとすると、行き着く先は、国境を超えて、同じような姿になるのだと思う。
面白いものだ。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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