2023/06/22
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第158回
人生とは今日1日のことである。「今ここ」に集中できる人が成功も幸福も手にするワケ
- キャリア
- ビジネススキル
- 堀田 秀吾氏 明治大学法学部教授 言語学博士
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今日という1日、この24時間は、あらゆる人に平等に与えられている唯一のものだが、「24時間をどう使うのか」という問いは、人類にとって永遠の課題である。
後悔したくなければ、今日1日に集中するしかない
今日という1日。この24時間。 それは、あらゆる人に平等に与えられている唯一のものです。性別や容姿、年齢、能力、資産、社会的地位などは人によって異なりますが、1日の長さだけは、誰にとってもまったく同じです。 同時に、「24時間をどう使うのか」という問いは、人類にとって永遠の課題であるといえるでしょう。 紀元前に生きたローマ帝国の哲学者セネカは、自身が記した『生の短さについて』の中で、「何かに忙殺される人間の生きる生がどれほど短いか」と、常に時間に追われている私たちにとって、非常に耳の痛い言葉を残しています。
このように紀元前から現代まで、古今東西のあらゆる人たちが、「二度と戻らない今日というこの日をどう生きるべきか」について真剣に考え続けてきました。それは、きっと人の生があまりにも短く、一瞬たりとも止まることなく進み続けるからでしょう。
また、どう万全を期そうとも未来は常に不確定で、起きてしまった過去は変えられません。結局、死を迎えるまで、私たちにできることは、今日1日をどう生きるかだけなのです。
「今日」を自分の手に取り戻すには
では、24時間をどう使うことが、ビジネスの成功や充実した人生につながるのか。どうすれば、今日を自分のために使ったことになるのか。答えは、「今、目の前のことにただ集中すること」。
未来のためでもなく、生産性や効率化を求めるためでもなく、ただ、目の前のことに集中する。それこそが、最も幸福を感じられ、最大限の結果を手に入れる方法であるといえます
「幸福に必要なことは、心身が今に集中することである」――ハーバード大学キリングワースとギルバートの研究
目の前のことに集中することは、人生の幸福度を上げてくれます。これは、ハーバード大学の心理学者、キリングワースとギルバートの研究によって明らかにされています。
キリングワースらは、オリジナルのiPhoneアプリを使い、13か国の、18歳から88歳までの5000人を対象に、「今、何をしていますか?」「今、どんな気持ちですか?」「今やっていること以外のことを考えていますか?」といったさまざまな質問をし、回答を集めました。
その結果、46.9%の人が、何かをしているとき、そのこととは関係ないことを考えていること、そして、今やっていることと考えていることが違うときは、一致しているときよりも幸せを感じていないことが分かりました。
つまり、目の前のことに集中できていないとき、人は幸せを感じづらく、集中できているときには幸せを感じやすいのです。
この結果を受け、キリングワースとギルバートは、科学誌『Science』に掲載された論文で、「幸福に必要なことは、心身が今に集中することである」と述べています。
おそらくみなさんも、時間を忘れるほど何かに集中できたとき、ゾーンに入ったときに、大変な充実感、満足感、幸福感を覚えたという経験があるはずです。