TOP 経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える 「仕切り直し転職」をすべきかどうか、どう見極める?

2022/02/11

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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える

第25回

「仕切り直し転職」をすべきかどうか、どう見極める?

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「新しい職場で働き始めてすぐに大きなギャップを感じており、転職活動を再開すべきか悩んでいる…」
このような経験をした方は少なくないのではないでしょうか。

 

実際に、一年に満たない短いスパンでの「仕切り直し転職」をする方も多々見られます。ただ一般的には、”短期間での転職は好ましくない”という社会認識があるため、再度の転職活動に不安を持たれる方もおられることでしょう。

 

よってここでは、「仕切り直し転職」が頭をよぎっている方に、いま実際に転職活動を開始するべきか、現職に留まるべきか、これらを考えるためのヒントを提供させていただきたく思います。

 

感じたギャップについて経営者と対話することが重要

再度、転職活動に臨まれる方に顕著な理由の一つに「経営者(株主)との考え方に乖離がある」「上長と肌が合わない」といった価値判断基準の相違があります。本来は、入社前の段階ですり合わせが終了しているべきことですが、それには限界があるのも事実です。

 

入社後にこれらのギャップが顕在化することは往々にありますが、そのとき、考え方や方針の違いについて、自分の「こうすべきだと考えている」をもとに、経営者や上長としっかりと対話をしたか、という点を振り返っていただきたいのです。

 

経営幹部であれ、管理者であれ、読者の皆さんには、経営を動かすミッションを担い、自ら課題を設定し組織を動かすことが求められているはずです。

 

それにもかかわらず、そのすり合わせをしようともせず、認識ギャップの存在だけを理由に転職をされようとしているのであれば、それは職務怠慢と言えるかもしれません。

 

転職活動を進めても、応募先の企業から見ると、「幹部層としては責任感、提言力に欠ける方なのかもしれない」という印象を持たれる可能性があります。

 

対話を繰り返し、その上でやはり変わらない(一緒にはやっていけない)と感じられたのであれば、互いに納得しあえるでしょうし、次の応募先企業からも「やるべきことはしっかりとしたうえでの再転職活動」と認識されるはずです。

 

ただし、例外はあります。

 

「事前に聞いていた財務や組織の状況、待遇、などが実際には大きく異なっていた(嘘をつかれていた)」「転職活動中に先方企業側の状況が大きく変わり、約束を果たせなくなった」など、企業側に問題があると言わざるを得ないケースがあります。そして、こういう場合、そもそも何かを変えるべく対話をすることすら難しいこともありえます。

 

そのような場合は、対話をする必要はないでしょう。すぐに転職活動をスタートしても良いと思います。ただし、この場合でも、応募先企業からは「十分に相手のことを確認してなかった人、詰めが甘い人」といったマイナス評価を受けることになるかもしれません。それは仕方ありません。そのようなものとして甘受して反省し、今度こそ間違えないように新しく良い出会いを求めるほうが賢明です。

 

ピンチを前向きなチャンスに変える余地があるか考えてみる

経営層・幹部層である皆さんは、既に専門性を持ち、優秀な実績があり、よって若手には任せられないことを期待されることが多いでしょう。皆さんをわざわざ外から招く理由は、いまの人材では解決できないことがあるからです。つまり、課題や上手くいかないことは「あって当然」なのです。

 

「思ったより内部はぐちゃぐちゃだった」「カルチャーから変える必要がある」「業績低迷が予想より長く続きそうだ」など、様々な問題があると思います。その状況下にこそ活躍の余地が見出せないか、もう一度ポジティブな視点で見直すことで活路が開かれることがあります。もし、そのような余地がある場合は、転職活動はまだしなくてよいでしょう。

 

新天地のイメージが定まっているか見直す

再度転職したほうがよいかどうかを考えるときには、新天地のイメージを固めることが重要です。

 

なに?それは転職活動中の話なのでは?と思われるかもしれません。ですが、これは活動の開始前にすべきことなのです。

 

なぜなら、新天地のイメージが定まっていないのであれば、「いま」動き出すべきではないからです。そして実際に活動を開始しても苦労することになるからです。

 

転職のご支援をする中で時折、「現職を出たい気持ち」が先行している方にお会いします。
その理由そのものは、致し方ないなと思う内容なのですが、このような方の多くが「新天地はどういった場所が良いと思うか?」という質問に対して答えをお持ちではないのです。「こだわりは無い」「今より良ければ」というような方がほとんどです。

 

ここで考えるべきは、採用しようとする企業側の視点です。あなたが社長だったとして、「現職でなければどこでも良い」と言うふうに考えている方に、幹部の重責をお任せしたい!と思うでしょうか。

 

企業側からすれば、会社を出たい理由よりも、「だからこそ新天地ではこういったチャレンジをしたい」「こうしたことができるので私に任せて欲しい」という意欲を聞きたいはずなのです。その意欲に納得できれば、短期離職そのものはそれほど問題になりません。

 

また新天地イメージの無いままに動き出すと、目の前に出てきた案件をとにかく受けることになり、これでは非効率です。そんなことから、転職活動を再び始めるかどうかを考える前に、必ず新天地のイメージを自身に問いかけていただきたいのです。

 

以上、3つの観点から「仕切り直し転職」について考えてきました。

 

実際のところ「仕切り直し転職」の背景には、ネガティブな事情があることが多いことでしょう。しかし、悲観しすぎず「失敗を一つの学び」とし、無節操に動くのではなく「本当に動くべきか」を慎重に考えていただきたいと思います。その結果、現職で踏ん張る選択をすることになる場合もあるでしょう。

 

いずれの選択にせよ、大事なことは皆さんが幸せに仕事をする環境を手にいれることです。ここに記した内容が皆さん自身の考えを整理する一助となれれば幸いです。
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