2017/09/05
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これからのリーダーシップ、プロ経営者論
第4回
「社外経験」「出戻り経験」がこれからの経営者の条件に!?(4/5)
- スペシャル対談
- リーダーシップ
小杉 最近、大きな話題になったのは、日本マイクロソフト(会長)からパナソニックに行った樋口泰行さん(専務役員、コネクティッドソリューションズ社社長)――彼は留学仲間で、僕がアップルにいるときに採用して来てもらいました―――は、今回、形としては出戻りですよね。彼が会社に与えるメリットは、会社の事を良く知っている外部者であるということです。もともと同社の技術畑で現場にいた人間が、コンサルもやって、外資の経営もやって、流通もやって、マイクロソフトもやって、そのうえで古巣に戻って来ているというのは、会社にとってはすごい財産なんです。
日立製作所の川村隆さん(元社長、現在は東京電力ホールディングス取締役会長)もそうですね。彼は辞めたわけではないけれど、子会社に転籍して3社で社長をやってから、お家の一大事に呼び戻された。このケースも外の視点を持っていたからこそ、同社の特殊性に気づき、変革ができたと言えます。川村さんは、『私の履歴書』(日本経済新聞)に、「生え抜きの人間がトップになる時代はもう終わった」とも書かれていますよね。
井上 樋口さんは僕も面識いただいていますが、今回の件は驚きました。と当時に、なるほど!とも思いましたね。意図してやるのかは別としても、もともとそこでまず育ち、外に出て、別の経験で肉づけをした人が、元の、いわゆる新卒で入った会社の経営をやるというのはとても興味深い。
小杉 これは日本の会社が新卒一括採用をしているからできることでもありますよね。
井上 僕自身、リクルートを退職した後、子会社のエグゼクティブサーチ会社に、ある意味「出戻った」経験があります。確かにやりやすかった印象があります。親会社のリクルートやリクルートエージェントの経営陣やキーマンとなる人が皆、昔お世話になった先輩方たちでしたからね。彼らからしても僕を使いやすかったと思います(笑)。
小杉 例えば、樋口さんのケースも、外資系バリバリのコンサルが乗り込んで来たら、社員たちはアレルギー反応を起こすと思います。樋口さんに関しては、「うちに元いた人間だから」と先輩たちが許容していたのは、とても大きいと思いますね。
井上 なんだかんだ知っている人がいますからね。同じ釜の飯を一緒に食った人が……。
小杉 役員でまだ残っていたりするから。そこが日本版のプロ経営者の1つのモデルだと思うんです。純粋生えが抜き培養型の経営者では、変革はできないですよ。今後、ますますそういうことが必要になってくる。「出戻り」が経営者の条件になって来るのでは?
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