2023/02/09
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第141回
色気は、50歳から
- キャリア
- ビジネススキル
- 中谷 彰宏氏 作家
愛し力のある人は、モノより人に興味を持ちます。例えば、お店に30万円のバッグがありました。愛し力のない人は、金額やブランド、「限定品で、今は手に入らない」という情報に目が行きます。
愛し力のある人は、「精巧な細工ですごいバッグだな。こんな美しいモノをつくるのはどんな人だろう」「このバッグを売ってくれた人は、メンテナンスの説明が懇切丁寧だった。あの人からまた買おう」と思います。
愛し力を養うには、モノよりも人にどれだけ興味を持てるかが大切なのです。
ほめてくれない人も、好きになる。
50代も、他者承認を求めます。これは社会人であれば仕方ありません。SNSのない時代から、社会でうまくやるためには他者承認が必要でした。人間は、自分は人をほめないくせに、自分をほめてくれた人を好きになります。本当に人が好きな人は、ほめてくれない人を好きになります。時には厳しいことを言ってくれる人を好きになれるかどうかで、愛し力があるかどうかが分かれます。耳ざわりのよくない人は遠ざけ、耳ざわりのいいことを言ってくれる人を近づけていると、いつまでたっても成長せず、どこかで詐欺に遭います。50代になっても成長するためには、厳しいことを言ってくれる人をそばに持つことです。
人間は、成長していることが魅力になります。成長すると、他者に対する寛容性も湧いてきます。「愛し力」は、許す力です。
ほめてくれない人は、自分と価値観が違うだけです。50代になると、価値観の違う人と接する機会が増えます。特に、1つの会社にずっと勤めている人は、その会社のある一定の価値観の中にいます。違う価値観の人と接する時は、会社の価値観から離れ、人間としてどう接するかが求められます。
違う価値観に対して、「そんな考え方もあるんだね」と受け入れられるのが寛容性です。特に、コロナのように正解の分からないものが出てきた時、いろいろな価値観がぶつかり合います。コロナで大変なのは、対コロナの問題ではなく、コロナへの対応の仕方が個々人でみんな違うことです。
結局、魅力のある人は寛容性のある人です。高田純次さんは、寛容の人です。高田純次さんの魅力は、「それもありだね」と言って笑えることです。見ている人は、「そんな考え方もあるんだ」と視野が広がった瞬間、気持ちが開放されます。
視野が狭まり、「これしかない」と思えば思うほど、その人はギスギスして、しんどくなります。高田純次さんは、「こんな考え方もあるよ」と、みんなが思っているものと違う価値観を提示してくれます。その上で、「あなたはあなたで間違っていないけどね」という寛容性があるのです。
例えば、「松嶋菜々子に似てるね」「え、そんなことありません」という普通のやりとりの後、高田純次さんは「じゃあ、似てないんだ」と言います。
私は、高田純次さんのこのパターンのギャグが好きです。思いもしないアングルから返ってくるギャグによって、「自分たちは狭いところにいたんだ」と気付かせてくれるからです。
色気は、自分と同じゾーンにいる人には感じません。社会人は、安全ゾーンの中で暮らそうとしがちです。
一方で、アーティストは安全ゾーンから外に出ています。だからこそ、昔からアーティストはモテるのです。ほめてくれない人を好きになれる人に、色気が漂うのです。 他の記事も読む。60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
■書籍情報
色気は、50歳から。 単行本
著者: 中谷 彰宏
出版社:春陽堂書店
価格:1,760円
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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