2022/12/15
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第138回
「話してもらえる人」になる! 心理的安全性が高まる聞く技術
- キャリア
- ビジネススキル
- 山根 洋士氏 心理カウンセラー、メンタルノイズ心理学協会チェアマン
など、簡単な“べからず集”を用意しておくといいでしょう。もちろん、「アドバイスがほしい」と言われたら答えればOKです。
これは受容と共感のための、初歩の初歩ですが、かなり強く意識しないと、つい自分から口を挟んでしまいます。そしてどんどん会話の心理的安全性を下げてしまうのです。
相手との信頼関係を台無しにするNGワードとは?
「話そうとしないこと」に加えて重要なことが、「分かろうとしないこと」です。会話の中で「分かる分かる~」と相づちを打つ方がいますが、大抵分かっていません(笑)相手の話が分かったと思っている時は、似たような経験を自分の過去のデータベースから参照しているだけ。相手と自分は違う人間なのですから、分かるわけがないのです。この「分かるよ」というのは、相手に寄り添うつもりでつい言ってしまいがちなワードですが、長年の友達など親しい人が相手ならまだしも、信頼関係をつくる段階ではNG。あっという間に心のシャッターが閉ざされかねません。
相手は心の中で「そんな簡単に分かってほしくない」「私の何が分かるのか」と思ってしまうかもしれません。その上「私も昔……」なんて自分の話を始めるのは最悪です。聞いていない、自分の話をしたがる、という印象を与えてしまいます。
受容と共感のためには、「そうなんですね」「つらいですね」などが無難です。相手の話を分かろうとする必要はありません。相手の言っていることを、そのまま受け止めればいいのです。
話さそうとしない・分かろうとしない――本当の「共感」が心理的安全性を高めるカギ
話そうとしない、分かろうとしない。言い換えれば、優れた聞き手とは相手の話を聞いても「自分」を挟まずに聞ける人のことです。自分の解釈も感情も一切挟まずに相手の話をフラット聞くこと。ありのまま話を聞いてもらうことで、話し手は「自分を受け入れてもらえてるんだな」と心を開いて話すことができるようになるのです。よく「親身になって」と使われますが、カウンセラーの視点からすると、寄り添い過ぎているイメージがあります。これは共感ではなく、相手が悲しむのと同じように自分も悲しむ、「同感」の状態です。
本当の「共感」とは、一緒に悲しむのではなく、相手の本当の気持ちを受け止めてあげること。溺れている人のところへ自分も飛び込んで、一緒に「苦しいね」と溺れるのが同感とするなら、溺れている人に岸から手を差し伸べて、「大丈夫だよ」と伝えるのが、共感です。
一緒に溺れてもがいてくれるのも優しさかもしれませんが、溺れている人が自力で岸へ上がるのを支える存在になることで、相手の自己解決力をも促します。
徹底的に「聞く」姿勢をもつことは、相手の心理的ハードルをさげるだけでなく、自主性や問題解決能力も引き出すことにつながるのです。 他の記事も読む。60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
■書籍情報
なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのすごい「聞く技術」 単行本
著者: 山根 洋士
出版社:アスコム
価格:1,595円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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