2022/11/16
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イマ、ココ、注目社長!
第289回
企業年金「はぐくみ基金」で、介護士や保育士の不安を払拭する。【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 森本 新士氏 株式会社ベター・プレイス 代表取締役社長
介護や保育などの福祉分野で働く人たちの環境は、けっして恵まれたものとはいえません。お金の不安もつきまといます。そんな状況に待ったをかけたのが、株式会社ベター・プレイスが提供する企業年金「福祉はぐくみ企業年金基金」(以下、「はぐくみ基金」)。2018年に発足した新しい年金制度で、税制優遇の仕組みを利用しながら積立を行い、退職時のほか、休職、育児介護休業時などにも受け取りができます。現在、福祉施設や中小企業などを中心に導入企業が増加中です。
同社代表取締役社長の森本新士氏は、外資系生命保険会社に勤務したのち独立したものの、思うようにいかずに挫折。その後、エッセンシャルワーカーが有利に資産形成できる仕組みを提供しようと株式会社ベター・プレイスを創業しました。「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」という二宮尊徳の言葉を胸に、「志」と「持続性」を重視する森本氏に、「はぐくみ基金」の意義や今後の展開についてお話を伺いました。
(聞き手/井上和幸)
福祉医療業界のニーズに合わせた「はぐくみ基金」
――「はぐくみ基金」はスタート以来導入が相次ぎ、ベター・プレイスは増収を続けています。その秘密はどこにあるのでしょうか?
森本 やっぱりマーケットに合っているので、お客さまがどんどん増えているんでしょう。これまで取り残されていた人たちが、年金に加入できるわけですから。実は同じようにマーケットから取り残されている人たちが、世界的に見るとかなりいます。
例えばアメリカの401kは大企業中心で、給与水準が高い人が節税効果を得ながら積み立てをして運用していくわけですが、その一方で黒人やヒスパニック系、女性などを中心に、大企業に入れずに、結果として年をとって低年金にあえいでトレーラーハウスに住んだりしている人たちが多くいます。そういう人が多数いるのがアメリカの現実。それは基本的に日本でも同じだと思います。
――「はぐくみ基金」のターゲットを福祉医療業界の中小企業に据えているのも、そういう理由なのでしょうか?
森本 そうですね。そもそもそうした職場では離職が多い現実があって、平均在籍年数が6年から7年程度です。なぜかというと女性が多い職場で、介護領域は7割程度、保育士・看護師だと95%程度が女性です。そうした女性たちは、出産などのライフイベントに合わせて休職したり、退職されることが多いんです。「はぐくみ基金」はそういった方々に合うようにつくられているので、ニーズが高いのではないでしょうか。
労働力として優秀な女性が長く働ける職場をつくる
――御社の従業員は直近で何名ぐらいですか...
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