TOP CxOの羅針盤 官僚をやめてベンチャーへ。日本初の「最高脱炭素責任者」。【後編】

2022/01/25

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CxOの羅針盤

第16回

官僚をやめてベンチャーへ。日本初の「最高脱炭素責任者」。【後編】

  • リーダーシップ
  • マネジメント
  • キャリア
  • 組織

 

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グリーンエネルギーで脱炭素を目指す環境ベンチャー、afterFIT。2016年11月に温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み「パリ協定」が発効する前月に創設され、世界的な気候変動対策や脱炭素の流れのなかで急成長を遂げています。

 

発電所の開発・メンテナンスから発電量予測、電力の需給調整まで手掛ける同社で、2021年4月からCCO(チーフ・コミュニケーション/カーボンニュートラル・オフィサー)を務めるのが、前田雄大氏。東京大学から外務省に入省されるも、官僚をやめてベンチャーに参画されました。その歩みやCCOとしての活動について、話を伺いました。

 

(前編はこちら

(聞き手/川内イオ)

ユーチューブチャンネルに登場

川内 なぜ、ベンチャーのafterFITに入社することにしたのですか?

 

前田 外務省もそうですが、大組織のなかだとなにを言っても一意見として終わってしまって、影響力の行使ができないんです。せっかくやるべきことが見えているのに、それが大組織のなかで埋もれてしまうのは避けたい。それに、代表の谷本貫造と話をした時、方向性の違いがあるにしても脱炭素というフィールドでビジネスをやりたいという情熱は一致したので、そういう人と一緒に仕事するのも面白いかなと。

 

川内 外務省の上司や同僚の反応は?

 

前田 前田ならあり得るなって感じで、あまり驚いてなかったですね(笑)。脱炭素のビジネスは国益の増産に資するからこそやりたいと思っているので、結局、根っこは外交が追求するものと一緒なんです。僕が追求する対象が外交から脱炭素に代わっただけだし、その領域で頑張ることで外交上のカードできるんだと僕は思っているので、そこは理解してもらえたと思います。

 

川内 入社当初からCCO(チーフ・コミュニケーション/カーボンニュートラル・オフィサー)に就いたのですか?

 

前田 いや、違います。自分の力を活かせる場所を自分で見つけなきゃいけない会社で、役職もありませんでした。2020年6月に入社してから最初の3カ月は自分の居場所探しをして、9月からSDGs、気候変動、エネルギーのいまを伝えるオウンドメディア「EnergyShift(エナジーシフト)」で仕事を始めました。10月にはもともとあったユーチューブチャンネル「エナジーシフトTV(エナシフTV)」で、気候変動やエネルギーに関するニュースや時事問題の解説を始めました。

 

ユーチューブチャンネル登録者数が3.6万人超に

川内 なぜ、メディアに目を付けたのでしょう?

 

前田 1年半前の時点では、脱炭素は胡散臭く見られ...

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プロフィール

  • 前田 雄大氏

    前田 雄大氏

    株式会社afterFIT CCO

    1984年生まれ。2007年、東京大学経済学部経営学科を卒業後、外務省入省。 開発協力、原子力、大臣官房業務などを経て、2017年から気候変動を担当。 G20大阪サミットの成功に貢献。パリ協定に基づく成長戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。2020年より現職。自身が編集長を務める脱炭素メディア「EnergyShift」、YouTubeチャンネル「エナシフTV」で情報を発信している。オンラインをはじめ脱炭素記事を他媒体にも多数執筆している他、脱炭素に関する講演・企業コンサルも多数実施。

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