2022/01/07
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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える
第20回
大手企業からベンチャー経営幹部への転職を失敗させる5つの要因
- キャリア
- 転職
ニュースアプリ運営のスマートニュース、クラウド型人事労務サービスを提供するSmartHRなど、時価総額10億ドルの未上場企業であるユニコーン企業をはじめ、事業規模が拡大し、経済への影響力を増しているベンチャー企業が増えています。
事業の拡大に伴い幹部採用ニーズも高まっており、当社には社員数が100名を超えるような拡大期のベンチャー企業のマネジャーやCxOと言われる経営幹部採用のご相談が多くなっています。
数年前までは、ベンチャー企業の経営幹部は、同規模かそれ以上の事業規模のベンチャー企業から獲得することが多かったものの、最近は大手企業から経営幹部採用も積極的に行っています。
そういった流れの中で、大手企業からベンチャー企業へ経営幹部として期待されて転職したものの、力を発揮できないまま退職、再転職を検討される方が一定数で発生しています。
しかし、こういった方々はベンチャー経営幹部としての、スキルが不足しているわけではありません。
大手企業からベンチャー企業へ転職し、経営幹部として失敗する5つの要因を通じて、ベンチャー経営幹部として求められることを考察していきます。
家族の応援を得られない
1つ目の要因は「家族の応援を得られない」です。大手企業からベンチャー企業へ転職して、家族からの応援がないために、思う存分に仕事ができないまま、転職を失敗で終わらせてしまう方は少なくありません。
ご自身の意気込みとは裏腹に、ご両親、配偶者やパートナーといった家族はベンチャーで働くことに否定的な場合、「残業が多く心配」「将来が不安」「安定した企業に戻ってほしい」など、以前に勤めていた大企業と成長過程にあるベンチャー企業を比較しがちです。
ただでさえ忙しいベンチャー企業で、大企業との比較において家族から「できれば大企業に戻ってほしい」といったことを言われ続ければ、心が折れてしまいます。
一方でベンチャー企業への転職を応援してもらえる方は、家族も巻き込むような形でベンチャーでのチャレンジを楽しんでいらっしゃいます。昨年、海外子会社の役員なども務めた大手企業の部長クラスの方の転職のご支援をしました。
ベンチャー企業でチャレンジしたいと相談をいただいた段階で、ベンチャー企業へ転職する意味などをご家族に説明していらっしゃっており、無事に上場準備中の100名規模のベンチャー企業へ入社されました。
入社して半年後にお会いした際には「予想以上に大変ですが、刺激的でやりがいのある毎日を送っています」とおっしゃっています。
大企業に在籍していた時は流れに身を任せても、事が進むかもしれませんが、ベンチャー企業ではご自身でしっかり舵をとらないといけません。生活スタイルが変わることも少なくありませんので、プライベートの舵取りも必要です。家族からの応援を得て、最初につまずくポイントを回避しましょう。
連絡、メールのやりとりが遅い
2つ目の要因は、「連絡、メールのやりとりが遅い」です。転職活動中のやりとりから、普段の仕事ぶりが垣間見えることがあります。
連絡やメールのやりとりが早い方はベンチャー経営幹部としての素地をお持ちだと感じます。
企業との面接の日程調整のやりとりを想像してください。
成功される方の多くは、お忙しい中の転職活動でも就業前や就業後などの決まったタイミングで、面接日程の連絡を「処理」されます。
一方で、連絡やメール返信が数日間止まってしまう方は、ベンチャー企業に入社ができたとしても、入社後に失敗する可能性が高いと考えられます。
メールを1時間以内で返信をした方が良い、という類の話ではありません。また現職の仕事をしながら、転職活動をするため非常に忙しい状況だということも承知をしています。
ただ、そういった中でも意思決定をすぐに行い、行動を早める工夫ができる方はベンチャーで活躍をされています。
面接だけでは大手企業での仕事ぶりが見えないことはあるものの、「●●さんは、面接日程のご連絡が早く、ベンチャーでもやれそうですね」とベンチャー経営者から、面接以外のやりとりでご評価をいただけることもあります。
ベンチャー企業の経営幹部として、事業やチームをマネジメントするならば会議の場での意思決定だけでなく、その時々でスピード感をもった判断が必要です。仮に判断が間違っていたとしても修正して、やり直すことで企業は前に進むことができます。
失敗しないように慎重に進めることも大事ですが、ベンチャー企業では一歩でも前に進むために、どんな行動ができるかを考えるべきです。
仕事を進める中で、手を止めてしまいがちな人は、ベンチャー企業で失敗しないためには普段の行動を変えていくことが必要です。
ビジョン共感が弱く、メンバーと一緒に汗をかけない
3つ目の要因は「ビジョン共感が弱く、メンバーと一緒に汗をかけない」です。10名にもメンバーが満たないスタートアップベンチャーでも、社員数100名を超える拡大期のベンチャーでも経営幹部として活躍している方は、企業のビジョンに共感し、ビジョンを具体化するために汗をかきながら行動をされています。
一方でビジョン共感が弱く、具体的な行動をとれない方は失敗をします。
ビジョンとは企業が進みたい方向、企業がつくりたい将来の姿を表しています。
サービスを生み出す前、作り込む段階、拡大をさせる段階など、メンバー全員が
ビジョンを指針として進むことがベンチャー企業の成長の源泉となります。
ビジョンへの共感が弱いということは、進む方向や将来の姿をイメージができていないという状況です。その状態では経営幹部として、ビジョン達成に向けた準備、計画をたてることが難しく、自身もチームメンバーも行動と成果が結びつきにくくなります。
そのような状況では周囲のメンバーとの信頼関係もなくなり、経営幹部として成果を出すのは難しくなります。
ビジョンのイメージができたならば、計画と実行が必要です。
実行フェーズではビジョンを達成するための行動を自ら体現することが必要です。ベンチャー企業のメンバーは社会人経験が少ない若いメンバーが多いので、
一緒に汗をかき、考え方や動き方を理解してもらうことが、成果につながります。
ビジョンに共感しベンチャー企業に入社して「ビジョンが素晴らしい」「社長が素晴らしい」と話をしているだけでは何も前に進みません。ビジョンに共感し、汗をかきながら一緒に具体的な行動することが、ベンチャー経営幹部には求められます。