2021/09/16
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戦略HRBPから見た、人・組織・事業・経営の現在&これから
第19回
真のパーパスを共有したチームを作り上げる‘志’本主義経営を共に考える
- 組織
- キャリア
- 桜庭 理奈氏 35CoCreation合同会社 CEO
経営者の悩みの9割は人である、といっても過言ではありません。
ひとりで企画から交渉、実行、調整、改善、納品までを自己完結できるのでなければ、どこかの工程で、必ずや他者との協業が不可欠です。それが社内のメンバーであったり、社外のメンバーであったりすることはあるでしょうが、経営者からご相談をいただく組織課題のほぼすべての局面において、人という要素が絡まない案件はないように感じます。
特にコロナ禍において、ご相談が急増しているトピックが「人事評価&報酬制度の新規策定、または改訂」です。
多くの企業において、これまでは業績も良く、かっちりとした人事評価プロセスを制定しなくても、社員から見聞きしたデータポイントを元に経営者自らが肌感覚やさじ加減で評価をしてきたとしても、メンバーから面と向かって大きな不満や不服を申し立てられることもなかったという話です。ただし、コロナ禍で業績が振るわず、以前同様の昇給や賞与を支給することがかなわず、メリハリをもって意図的に分配していくにしても、これまできちんとしたロジックも打ち立てずに来ていたがために、さあどうやって納得してもらおう、困ったな、ということで、ご相談が増えていると想像します。
有事の時こそ、それまで露呈しなかった組織課題が噴出するものです。プレッシャーがかかった時こそ、組織も人も本音が表層化するのです。
組織(チーム)のパーパスと個のパーパスはつながることができるのか
そのような状況に直面して、弊社にご相談をいただく経営者や人事を司る責任者の方々は、口をそろえて「もっと早く取り組んでおけばよかった」とおっしゃいます。
しかし、わたしは必ずしもそうだとは思いません。
なぜかと言えば、組織も人も成熟のステップやスピードが異なるからです。
痛みを伴う現実を突きつけられてからでも、なおその現実から目を背けてしまう経営者や人事を司る責任者もいる中で、その現実に向かい合い、痛みを伴いながらも勇気を出して問題提起をし、次の時代に事業や組織を存続させようと必死にもがきながらも、前に歩みを進めていこうとするリーダーの皆さんに、尊敬の気持ちを抱かずにはいられません。
さて、そのようなリーダーの皆さんからよくお伺いする悩みとして、人事評価や報酬制度を制定する以前の前提として、その企業や組織の存在意義やミッション、ビジョン、価値観をそもそも自分事化していないメンバーが多すぎて、それについて合意形成をしていくには、どうしたらよいのか、というお話があります。
一言でいうと、その企業のパーパス(志・存在意義・理念)を真に共有した組織体を作り上げることこそが、組...
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