2020/07/14
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強い会社に変わる「組織」のあり方と戦略を明らかにする!
第4回
抽象と具象を行き来せよ。課題を一人100個書き出せ。 (Vol.4)
- スペシャル対談
- 経営者インタビュー
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井上 今回は、ここまで「理念」と、「コア・コンピタンス」、そして、それを整合させる「仕組み・制度・施策」の重要性について語っていただいてきましたが、それができていない企業にとっては、悩ましい課題かもしれないですね。どうしたら、そこに近づけるのでしょう。
松岡 人が気持ちよく主体性を持って動いてくれるための仕組みや制度をつくっていくためには、1つは、「うちの会社だったらこれが理想だよなという理想をイメージすること」です。そしてもう1つは、「現実をちゃんと見ること」。この現実を見ることが下手な会社もすごく多いですね。
井上 では、現実を見るためにはどうすればいいでしょう。
松岡 私は、一人につき100個、会社の課題や良いところなどを書くことを推奨しています。なぜなら、事実というのは本当に細かい具象の中にあるからです。そこまで見ずに、抽象論だけで議論する会社が多いんですよ。抽象論だけで議論すると、改善はしないんです。誹謗にはなってもね……。
「なぜそれがダメなのか?」、「どういう事象が起きているのか?」、「その事象はどこから来ていて、どこを変えると変わるかもしれないのか?」というところを丁寧にやらないと、理想の組織や仕組みは生まれません。
また、もう1つ、これは人事などにも言いたいのですが、「こうした方がいいよな」と思い付いてやる会社はたくさんあります。人事も真面目だし、経営者も真面目だから、「うちの会社を変えようよ。こうしようよ」と言ってやっているところは多い。
ところが、それを見ていて思うのは、ちょっと上手くいかないと、すぐに諦めること。極端に言うと社員のせいにしてしまうケースが多いことです。「うちの会社はこれまで何をやっても変わらないよね」とは言うものの、上手くいかない原因や、その奥底に潜む本当の理由を根っ子まで見つけようとする人がいない。
例えば、ある会社では、店長が他の優良店舗を視察することを望んでいたので、会社として公式にOKを出しました。それなのに、実際には視察に訪れる人がいない。その理由は、交通費と宿泊費が各個店の経費となっていたからでした。遠方の店舗に出張したら、それなりの金額がかかる。となると、店のPLを任されている人間はお金を使えないのです。そういった細かいところまで見て、人が動かない本当の原因を特定する感覚を持っていない人が多いんですね。私から言わせると、みんな抽象度が高すぎる。
井上 確かに。
松岡 だから両方必要なんです。抽象度の高い思考力も大事ですが、具象において「なぜそうならないか?」を見抜く力、あるいは、「どうやったらそうなるか?」を企画する力が、強く求められる時代だと思います。
井上 今回の話の軸になっている3社(リクルート、ファーストリテイリング、ソフトバンク)のようなトップがいる会社は、今の松岡さんの話を聞けば、改めてドライブがかかると思います。しかし、そういう人がトップにいない会社はどうすればいいでしょう?
松岡 抽象論から各論まで、抽象と具象とを瞬時に行き来し、一人で機能できるのは、創業型経営者しかいませんよ。
井上 基本はやっぱりそうなりますよね。
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