2020/06/15
1/1ページ
経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える
第3回
30歳で経営人材になれる人の条件 できるだけ早く「ゼロ→イチ」経験を!・・・その理由と具体的方法とは?
- キャリア
- 転職
弊社では、普段から「経営人材」の方々とお会しています。ここでいう「経営人材」とは、経営者としてご活躍の方、および将来経営者になれる資質を持っている人を指します。
最近では、齢30歳にして既に経営ボードないしはそれに準ずる立場で活躍している人もいます。では、どうすればそんなに早く、その場所まで辿り着けるのでしょうか?
「20代でゼロ→イチ」の経験をどれだけしているか
一言で言うと、できるだけ早く、できれば20代前半から中盤のうちにゼロ→イチの経験をどれだけしてきたか。つまりは“経営者のような仕事”をどれだけたくさん経験できたか、が重要になります。“経営者の仕事”は大きくわけて5つあります。
1.何も無いところから目指すゴールを指し示す
2.ゴールの実現に向けて、取り組む具体的な課題を設定す。
3.遂行するにあたっての経営資源の調達と配分をする
4.ヒトを動かし、調整し、成果を出す。
5.成果をもとに、未来に向けてゴールの再設定、課題設定等の再調整を行う
実は、この上記1.~5.を不完全ながら、その多くを経験できるのがゼロ→イチの仕事です。
例えば、社長から、「5年後には売上1億円規模となる、当社が扱ったことがない新商品を開発できないかな?」などといったざっくりした冗談半分の話が出てきたとします。
売上1億円は小さいので、既存事業を大きくしたほうが回りから高く評価されるかもしれません。さらに、期間と売上以外は何も決まっていない漠然とした話です。もしプロジェクトのリーダーになれば、何もないところから具体的なプランを構築しなければなりませんし、難易度が高いことは確実です。したがって、多くの人は冗談として話を流してしまうでしょう。
実はこのようなときこそが最大のチャンスなのです。
もし、あなたが、このプロジェクトを受けるとすればどうすればよいでしょうか。
最初にやることは、誰向けに、どのような商品を、どれくらいの予算と人的リソースをかけて、どこで流通させ、いつまでそれを市場に出すか…などの事業計画を考えることでしょう。さらに社長からOKをもらったあとは、設定したゴールに向けて、集めたメンバーに方向づけをしながらプロジェクトを動かしていくことになります。その中では、市場の環境や投入できる予算の増減にも対応しながら戦い方を変えなければなりません。
経営資源の配分の優先順位を変えたり、人を入れ替えたり、サプライヤーを新たに開拓するなど…都度、リーダーであるあなたが意思決定をし、結果に応じて、さらなるゴールの再設定と実行プランを作り上げ、さらに遂行し…と連続していきます。 このプロジェクトを進めていくとき、そうはいっても最終決裁者は上司や社長にはなるでしょう。しかしながら、このようにゼロからスタートするプロジェクトをリードする経験を踏めば、責任を負う経営者の感覚を得られるだけでなく、そのために必要な能力を獲得することができます。
経営人材を目指す人は、機会あらば逃げず、規模の大小や形式を問わずに、「ゼロ→イチ」に挑戦してみてください。
「ゼロ→イチ」の取り組み経験をどうすれば掴めるか
とはいえ、「現在の職場では、「ゼロ→イチ」の機会が得られそうにない」そういう方もおられると思います。そのような方には、以下の順にて挑戦の機会をつかみに行っていただきたいと思います。
- 「具体的な提案」をし、「遂行」する
会社や部署にとっての課題を見つけ出し、それに対する解決策を、新しい視点から上司に提案してみてください。その際に注意いただきたいことは提案内容の具体性と実現性です。最初から複雑で根深い問題の解決を試みなくても結構です。まずは、身近の中に隠されていた課題を、現実的に解決するプロセスを遂行する経験を積むことが重要です。
- 新規事業ができる部門への「異動願い」を出す
もし①で結果を出し続けているにも関わらず、上司がなかなか大きな機会を与えてくれないのであれば、社内での異動を試みてみましょう。会社の制度として異動希望を出せないなどがある場合は、ひたすらその想いを新規事業の実行可能性のある他の部門の方々に発信していきましょう。①のところで、あなたが十分な実績を積んでいることが伝われば、異動についても積極的に支援してくれる人を見つける可能性が高まります。
- 機会の多そうな会社への「転職」を検討する
②で機会が得られれば良いですが、もしそれも難しいようであれば、新規事業の立ち上げやゼロ→イチのプロジェクトをリードする機会が得られそうな別の会社に移ることを考えましょう。デジタル化などで社会は大きく変化しており、そのような機会はたくさんあります。
但し、転職については注意も必要です。たとえ大きな機会には恵まれなかったとしても、これまでの自分の仕事のなかで、“ゼロ→イチ”的な仕事をしようとしてきたか、そして“成果を出してきたか”を振り返ってみてください。現社で、そのような取り組みをしておらず、成果を出していないにも関わらず「転職すれば良いことが起きる」わけではありません。
経営者は「与条件のなかで(与条件を変えることも含めて)成果を出し続けなければいけない人」です。今、目の前の仕事で(小さくても)ゼロ→イチ的に取り組みができていない、または、成果を出せていないのであれば、まだ準備不足といえましょう。
まずは目の前の仕事をゼロ→イチ的にとらえ、クリエイティブに成果をあげてください。経営人材への道はそこからが始まります。
経営者JPのコンサルタントにキャリアの相談をする >